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2018年に東京や広島の事実婚夫婦らが、夫婦別姓による婚姻を認めない民法や戸籍法は、憲法や国際人権条約違反だと訴えた第2次夫婦別姓訴訟。最高裁大法廷で審議され、昨年6月には家事審判につき、第1次訴訟と同様「合憲」決定が(本紙21年7月5日号)、今年3月には、国家賠償請求について請求棄却の決定が出た。違憲決定は出なかったが、昨年の決定では15人の裁判官のうち4人が、今年の決定では5人のうち2人が、違憲意見を付した(2面)。
第2次訴訟の原告の一人で、裁判集結を機に「ふぇみんなら」と、実名で取材を受けてくれたのが高島紗綾さんだ。「簡単に違憲判断が出るとは思っていなかったですけど、まだまだ頑張らないといけないのか、という気持ちです」と高島さん。
しかし、記者会見での高島さんたち原告に悲壮感はなかった。「絶対これで終わりじゃない。選択的夫婦別姓への道のりは後退しない。私たちの姿を見ている人がいる」。そんな思いで記者会見に臨んでいた。 「裁判が始まった当初は私の個人的なことだったのが、別姓の選択肢がないから結婚を諦める若いカップルに出会ったり、最高裁大法廷での審議が決まり社会の注目を集めることで、私たちだけの話ではないんだと思うようになりました」
専業主婦の母(故人)は常々自分の無償労働には価値があると言っていたが、高島さんは中学生の時に「ペイドワークを一生手放したくない」と思った。 大学生時代には、さまざまな人や本との出会いによって、多様性を尊重することの大切さを学んだ。アジアの国々で権利を求めて立ち上がる人々、自分の名前で生きることを貫く在日コリアン、いろいろな生き方をする女性たちや家族―。「リプロダクティブ・ヘルス・ライツ」との出会いは、個としての自分を強く意識する契機になった。社会人になり、ある人が妻を「○○さんです」と妻の姓で紹介するのを見て、「ステキだな」と思ったりした。
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