(c)落合由利子
生活に困窮した人を支援する「つくろい東京ファンド(つくろい)」の小林美穂子さんが、コロナ禍の初期に支援者が奔走した様子を『コロナ禍の東京を駆ける 緊急事態宣言下の困窮者支援日記』(共著、本紙4月15日号6面)として出版した。昨年4月の緊急事態宣言後、住む場を失った人々の生活支援に走り回るつくろいのメンバーの姿に、小林さんの心の叫びも加わって、ぐいぐい引き込まれる。
緊急事態宣言で、家なき人のよりどころだったネットカフェが休業に。しかし住まいがある人も住まいを手放さざるを得ないほど困窮したのが、このコロナ禍の特徴だ。これまで貧困とは縁がないはずだった人々にも大影響を及ぼす事態となって、つくろいに相談メールが殺到した。
小林さんは、激動の渦に放り込まれ、猛烈に忙しい日々へ。相談者の元へ駆けつけ、ごはんを食べてもらって、生活の立て直しのために福祉事務所などと交渉に立ち合う。本書は、現在進行形で心のつぶやきも入る筆致で進み、血の通わない、ウソさえつく行政の対応には冷静にカマし、時にキレたり怒ったり。そしてたたみかけるような皮肉もてんこ盛り。「よくぞ生きぬいてくださった」と相談者とつながれたことに安堵する。 そんな小林さんは困窮者支援とは全く縁のない人生だった。なぜこの道に? つくろいが運営し、小林さんが責任者を務める「カフェ潮の路」を訪ねた。
取材許可も何とか取れ、いざインタビュー。ところが小川さんから「何から聞きたい?」と聞かれても、「何が聞きたいのかすらわかりません」と堂々と居直る和田さん。小川さんは頭を抱えて下を向いたそう。
続きは本紙で...