(c)落合由利子
女性、50代、フリーランス、単身。日本社会の構造的な歪みの影響をもろに受けた一人の女性が、ある政治家と政治問答を行った本『時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか? 国会議員に聞いてみた。』(左右社)が、今年9月の刊行以来6刷され、「政治と自分がつながっていると感じた」などの感想がSNSにあふれている。「野党も頼りない」などとボヤいてしまう人にもオススメの本だ。
著者は相撲・音楽ライターの和田靜香さん。ライター業だけでは生活が厳しく、コンビニ、パン屋、スーパー、レストランなどさまざまなバイトで食いつないでいたが、コロナ禍でおにぎり屋のバイトをクビに。時給はいつもその時々の最低賃金。 「私の人生、頭の上にいつも超巨大雪だるまみたいな、先の見えない不安の固まりがゴロンゴロンとあったんです。コロンコロンじゃないの、ゴロンゴロンゴロン。そこへコロナ。もう未来がないと思いましたね」
昨年7月、和田さんは衆議院議員の小川淳也さんを追ったドキュメンタリー映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』を観て記事を書く仕事を通じ、小川さんに会った。「小川さんは、私の目の前で『(政治を)あきらめない』『みんなで一緒にやっていこう』と言うの。この人すっごい面白い!絶対話を聞きたい!本を作りたい!って思ったんです。コロナでどうせいつ死ぬかわからないなら、やぶれかぶれや!やったろう!ダンダンダンダン(相撲の突き)!って」
取材許可も何とか取れ、いざインタビュー。ところが小川さんから「何から聞きたい?」と聞かれても、「何が聞きたいのかすらわかりません」と堂々と居直る和田さん。小川さんは頭を抱えて下を向いたそう。
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