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インタビュー

シネマ・チュプキ・タバタ代表

平塚千穂子さん

  • 2021.9.15
  • 聞き手…中村富美子
  • 撮影…落合由利子

平塚千穂子さん

(c)落合由利子

日本で唯一のユニバーサル映画館

 

東京・JR田端駅から徒歩5分。シネマ・チュプキ・タバタは客席20ほどの小さな、けれど大きな夢を担う、日本で唯一のユニバーサル映画館だ。目の見えない人・見える人、耳の聞こえない人・聞こえる人、車椅子の人、泣く子と一緒のお母さん。誰もが一緒に映画を楽しめる。

 「日本で唯一」なのは、上映作品すべてが音声ガイドとバリアフリー字幕対応であること。その制作に、代表の平塚千穂子さんやボランティアスタッフが日夜励んでいる。  見えない人は客席のイヤホンから「平たい顔の男が」と解説を聞き、聞こえない人は、「そのとき一発の銃声が」とバリアフリー字幕で想像を広げる。  「目の見えない人は、かすかな衣擦れの音で人の動きを敏感に察知するから、余計な解説は要らなかったり。彼らの立場に立つことで、映画の本質は想像力だと実感します」

 

   20代後半の頃、平塚さんには映画に救われた経験がある。それがすべての始まりだった。   「失業と離婚が重なり、親には顔向けできない、友達にも会いたくない。罪悪感と先が見えない不安で、ぼう~っとするのさえつらい時期に、ふらっと映画館に入ったんです。入れ替えもない名画座で、浴びるようにいろんな人生を見て、少しずつ回復していった…。死んでしまいたい気持ちから、映画館で働きたいなあ、と」  名画座「早稲田松竹」でバイトをし、映画好きの交流会に参加するうち、チャップリンのサイレント映画『街の灯』を、目の見えない人に見せたいという企画が持ち上がった。

  「まずは当事者に話を聞こう」と、見えない人と見える人が集う劇団 「こうばこの会」を訪ねてカルチャーショックを受けた。みんな、おしゃべり好きで会話のスピードが速く、言葉遊びが上手。「こういう言葉と文化を持つ人たちなら音で映画を楽しめる」と確信した。

        続きは本紙で...


ひらつか ちほこ

1972年東京都生まれ。2001年に視覚障がい者のための映画鑑賞推進団体シティ・ライツ設立。16年、シネマ・チュプキ・タバタ開館。その功績から日本映画ペンクラブ賞特別奨励賞等受賞。著書に『夢のユニバーサルシアター』。寄付や支援情報は館のウェブサイトから。

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