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インタビュー

断罪より支援、の薬物依存対応を提唱する

谷家優子さん

  • 2021.8.5
  • 聞き手…社納葉子
  • 撮影…江里口暁子

谷家優子さん

(c)江里口暁子

人を追い詰める「ダメ。ゼッタイ。」

 

薬物依存者に対する社会のまなざしは厳しい。国は「ダメ。ゼッタイ。」のキャッチコピーを前面に出し、若い世代と薬物の回路を断ち切るとしてキャンペーンを繰り広げる。厚労省は「大麻使用罪」の法案化に向けての議論を始めている。  行政や薬物依存のリハビリ施設・ダルクなどで薬物依存者の再乱用防止や社会復帰を支援する谷家優子さんは、こうした「啓発」のあり方を「逆効果」と言い切る。薬物の乱用防止という同じ立場にあるはずなのに、なぜ意見が正反対なのか。 

 谷家さんが薬物依存の問題と出会ったのは2000年代に入った頃。キーワードは「トラウマ」だった。大学卒業後、2年働いたのちに結婚、出産。子育ての傍ら通った文化センターで性科学を知り、はまった。講師の勧めで大学に入り直し、今度は心理学の道へ。大きな転機となったのが1995年に起きた阪神・淡路大震災だ。兵庫県西宮市で震度7の激震に見舞われる。自宅は持ちこたえたが、周囲は大きな被害を受けた。

 

 近くの体育館が遺体安置所となり、パニック状態になった人たちが大勢出入りし、常に嗚咽が漏れ聞こえてくる。2人の幼い子どもを連れて、避難所へ支援物資を受け取りに通う日々。水も電気もガスも止まったが、両親はすでに亡く、近隣に住む親戚もみな被災。騒然とするまちで、谷家さんの心身にトラウマが刻まれていた。今も大きな音がすると、考える間もなく心身が凍りつく。  支えになったのがママ友たちとのネットワークだった。「食べ物を分け合ったり、プロパンガスを使っていた家でお風呂に入れてもらったり」。支え合うことで励まされ、明日への希望をつないだ。

        続きは本紙で...


たにや ゆうこ

1967年兵庫県生まれ。刑務所勤務、民間のカウンセリングセンターなどを経て現在、龍谷大学犯罪学研究センター嘱託研究員、京都文教大学非常勤講師。公認心理師。共著に『学校・病院で必ず役立つ LGBTサポートブック』(保育社)。

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