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身長100㌢、体重20㌔の小柄な体に鮮やかな色のワンピース、指には色とりどりのジェルネイル。オシャレや生きることを全身で楽しむ、コラムニストで電動車いすユーザーの伊是名夏子さんは、この3カ月苦悩に満ちた時間を過ごしてきた。
今年4月、旅行中のJR小田原駅で遭遇した「乗車拒否」(2面)。伊是名さんは障害者差別解消法に基づく「合理的配慮」の提供を駅員に求めたが聞き入れられなかった。結局は他駅で駅員が“特別に”対応したため目的地に到着したが、「私だけが特別ではだめだ。障害のある人も当たり前に気軽に電車に乗って旅行ができる社会にするために、みんなで考えたい」と、自身のブログで発信をした。 普段からコラムニストとして、障害をもつ人から見た社会、遭遇する障壁などを、分かりやすく丁寧に伝えてきた伊是名さん。今回もそうしたまでだが、発信後、ネット上で「わがままだ」などと誹謗中傷・バッシングの嵐にさらされている。
国交省はすぐに伊是名さんの件を「乗車拒否」と認め、各社に改善を求める注意喚起の文書を出した。しかし誹謗中傷は止まず、一部の障害当事者からも「感謝が足りない」「訴え方が悪い」と言われるのがつらい。 「小田原駅駅員が話し合いを全くせず、『できない』の一点張りで“合理的配慮”を提供する気がなかったから、私もちゃんと交渉や改善をしないと、と思ったんだよね。でもSNSに書いた『乗車拒否』が障害者にとって普段から起こるというのを想像しにくいのか、そんなことあるわけがない、狙ってやったんでしょ、という感情的反発も見られた。私は私のやり方で、声を上げるのをやめないってことを一番やりたいんです」
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