(c)落合由利子
2月1日のミャンマー国軍によるクーデター後、在日大使館前などで抗議デモを続ける若者たちの必死な姿が報道された。 4月、ミャンマー国軍を利するODAをやめるよう日本政府に求める集会で、「政治に関わったのは今回が初めてです。ミャンマー大使館前や国連大学前で、毎週抗議行動をしています。ミャンマー政府は2020年の総選挙の結果(民主派が圧勝)を認め、日本政府はミャンマー市民側に立ってほしい」と訴える女性の姿が目に焼き付いた。彼女が若者たちのリーダーの一人、スェイ セツ エイさんだった。
スェイさんは、長く日本で働いて帰国したおじから、高校生の時に日本語を教えてもらった。「日本語の発音が大好き」で、13年に来日して日本語学校へ入学。ミャンマーの発展に貢献する仕事をしたくて国際貿易を学び、日本企業で働く。
2月1日朝、最初の情報は、アウンサンスーチーさんが拘束されたというものだった。 「ショックでした。去年の総選挙の結果があるのに、いまさら軍事クーデターで政治を変えようとすることに驚きました。その日はさっそく昼に仲間と東京・渋谷の国連大学の前で抗議デモを行いました」。国連大学前を選んだのは、国連が介入してくれると期待したから。しかし現実は中・露・米など大国の思惑が絡み合い、期待通りには進んでいない。
20歳代の「Z世代」は、ネット世代だ。すべてSNSで発信し、それが素早い行動につながっている。 ミャンマーのヤンゴンで暮らしていたスェイさんの母は、軍による市民への攻撃・殺害から逃れて地方に避難した。市街地ではデモ参加者が住宅へ逃げ込むので、軍がドアを壊して家々を捜索していた。「それでも国軍に抵抗する姿を世界に伝えるために、市民は恐怖の中で抗議もし、生活もしていました」とスェイさんは案ずる。
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