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インタビュー

住宅困窮者を断らない不動産会社「プライム」

石塚恵さん

  • 2021.2.25
  • 聞き手…中村富美子
  • 撮影…落合由利子

石塚恵さん

(c)落合由利子

「どんな人も門前払いしません」

 

「おにぎりを差し出すと、それだけで心が解けてくるんです」。そんな風に相談者に向き合う石塚恵さんを見ていると、ここは本当に不動産会社かと思う。むしろ福祉の現場に近い。

 神奈川県座間市にある会社の看板は「どんな人も拒まない」。高齢者、ひとり親世帯、車上生活者。生活に困り、住まいに困った人たちが、ここに来れば何とかなると、ときに九州や東北からもやってくる。  当然ながら業界では変わり種。それでも商売として成り立たせているのが、石塚さんの凄腕たるところ。不動産業が社会の中で持つ別の意味を発見させる、開拓者のようだ。

 ことの始まりは親の介護だった。介護保険だけでは十分な家事支援サービスを受けられないが、かと言って自費ではヘルパーを雇えない。そこで考えた。「一方には仕事のない人がいて、一方には手が届く単価で家事援助してほしい人がいる。マッチングすれば自分も助かり、同じ思いの人にも喜ばれる」

こうして不動産会社に勤めながら、手弁当で家事援助事業を始めることに。手が回らなくなると、高校の同級生、松本篝さんに声をかけた。それがNPO法人ワンエイドに発展し、今に至るまで、二人は最良のパートナーであり続けている。

家事援助を始めると、しばしば高齢者は住まい探しに頭を痛めていた。取り壊し、破産による競売、夫が死んで家賃が払えない等で引っ越しを迫られても、行く先がない。「勤め先の不動産会社でも高齢者や障がい者は門前払い。ちょっと見守りするだけで問題ないのに」  ここで「かわいそう」で終わらないのが石塚さん。「それなら、自分で会社を作って貸してあげよう」と、宅地建物取引士資格に挑戦し、2012年にプライムを立ち上げた。

        続きは本紙で...


いしづか めぐみ

1966年、東京都生まれ。2012年、不動産会社プライムを設立。11年にNPO法人化したワンエイド(生活困窮者支援)と一体で、生活保護入居支援を含めた生活困窮者への住まい提供を行う。17年以降、全日本不動産協会相模原支部で初の女性副支部長を務める。

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