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インタビュー

アニメで平和教育を発信する

高部優子さん

  • 2020.9.25
  • 聞き手…室田元美
  • 撮影…落合由利子

高部優子さん

(c)落合由利子

相手を尊重する対話を子どもに

 

昔話の桃太郎といえば、お供を連れて勇ましく鬼ヶ島へ乗り込む、勧善懲悪の物語。だが人形アニメーション『鬼退治したくない桃太郎』に登場する桃太郎たちは、こんな疑問を持つ。

「なぜ鬼は畑を荒らして作物を盗むの? そうだ、鬼に聞いてみよう!」  村人たちと鬼一家が集まって、話し合いの場が持たれる。「鬼たちはなぜ畑を荒らしたのか」「村人はなぜ鬼に石を投げたのか」。それぞれが取った行動には理由があった。それがわかると自分たちの思い込みや偏見にも気づき、共感も生まれ、話し合いは前に進む。どうすれば仲良く暮らせるのか。おとなにも興味深い展開だ。

 「ハワイに伝わる『ホーポノポノ』という、和解の手法をモチーフにしているんです。日本では誰もが知る桃太郎ですが、鬼退治に主眼が置かれ、鬼の言い分には触れられていないんですね。これは対話に使えるんじゃないかと思いました。戦時中は子どもたちの戦意を鼓舞した桃太郎。平和教育に役立てられてよかった」と作者で映像ディレクターの高部優子さんは話す。  『鬼退治したくない桃太郎』の他にも、高部さんは平和教育のアニメを多数制作している。

平和教育に関わる原点になったのは、大学時代に旅したフィリピンで日本軍「慰安婦」にされた女性に出会ったこと。  「日本が戦争中にしたことを知らなかったんです。恥ずかしいと思いました」  卒業後は東京都内の私立女子高校で社会科を教えていた。授業中も化粧などして聞いてくれない子が多かった学校。ある時、日本軍「慰安婦」のドキュメンタリーを見せると、眉毛を抜いたりしていた女子たちの目が映像に釘付けになった。

        続きは本紙で...


たかべ ゆうこ

1967年、東京都生まれ。高校教師の後、NHKで映像ディレクターを務めながら、清泉女子大学大学院で紛争解決学を学ぶ。2012年『アニメ みんながHappyになる方法 関係をよくする3つの理論』を制作。現在、横浜国立大学の博士課程に在籍、明星大学で非常勤講師を務める。作品はビープロダクションのサイトで購入できる。https://www.bepro-japan.com/

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