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インタビュー

「慰安婦」の半生を描いた『草』を翻訳

都築寿美枝さん

  • 2020.5.25
  • 聞き手…中村富美子
  • 撮影…落合由利子

 都築寿美枝さん

(c)落合由利子

「戦争と性」の教育を続けて

 

2017年に韓国で出版された『草』は、漫画家のキム・ジェンドリ・グムスク(金錦淑)さんが、元日本軍性奴隷の李玉善さんに心を通わせて描いたグラフィック・ノベルだ(本紙3月5日号4面掲載)。韓国に留学中の都築寿美枝さんは作者とも玉善さんとも親しい。海外で次々と翻訳されるのを見て、「この問題を解決すべき日本で出版されないのはおかしい」と、翻訳を決意する。

ところが作者に話すとやんわり反対された。「無理はしないで」。右翼の攻撃にあうかもしれない日本の状況を知っていたからだ。「たしかに一人ではしんどい。でもみんなで立ち向かえば何とかなる」。そう腹を据え、出版委員会を立ち上げた。

声をかけたのは池田恵理子さん(アクティブ・ミュージアム女たちの戦争と平和資料館名誉館長)と、かつて広島の教職員組合でともに闘った岡原美知子さん(日本軍「慰安婦」問題解決ひろしまネットワーク事務局長)。「二人とも何かをすれば困難に突き当たると十分経験済み。だからデメリットよりメリットを優先しよう」と心は一つになった。専門書でないものの、数字一つにも気を抜けないから、旧知の李昤京さん(大学教員)が、細部まで検証してくれたのもありがたかった。

 都築さんの人生の根っこには、戦争と切り離せない家族の記憶がある。「話せば長い千夜一夜のような」物語は、時代に抗った祖父母に始まる。時は1935年。日本から朝鮮に赴任した祖父は堤川(現韓国忠清北道堤川市)で現地の女性に出会い恋をする。当時の価値観では許されない結婚を、二人は勘当と引き換えに手にした。祖母はひどい差別を受けて葛藤しながらも民族の誇りを保った。  都築さん自身も「朝鮮人!」と侮蔑されることがあった。そんなとき祖母は「朝鮮人のどこが悪い!」と怒鳴り込んでいった。

        続きは本紙で...


つづき すみえ

岡山県生まれ。元「関釜裁判を支援する福山連絡会」代表。元中学校の保健体育教員。「戦争と性」をテーマにした教育実践の傍ら、ナヌムの家のハルモニの絵画展や、日韓の市民交流を進める「ワッタガッタ(行ったり来たり)」ツアーなども実現してきた。

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