(c)落合由利子
昨年の国際女性デー(3月8日)に東京で行われたウィメンズ・マーチをきっかけに、DV・性暴力被害サバイバーである八幡真弓さんと知り合った。「デモやシュプレヒコールはちょっと苦手」と八幡さんは語り、9日後に主催する、イベント案内をくれた。性暴力・DV被害者の「生き延びている力」をねぎらうイベント「えらかったね卒業式」。オープンなスペースでの、美味しい軽食やカフェあり、トークあり、ヨガあり、アートあり、シャボン玉ありの、光にあふれた楽しそうなイベントだ。 「目指したのはフェスです。私たちのライバルは、休日のショッピングや楽しいイベントなので」。当日は被害当事者など60人が参加したという。「イベントはたった1回でもやりたかった。その楽しそうな写真を見て、誰かが、ああ、安全で安心する世界が本当にあるんだと思ってくれれば」
母は女性運動活動家のシングルマザーだった。物心ついた頃からDV・性暴力被害者支援の現場を見聞きし、「自分はフェミニスト」との自覚があったが、母の周囲の人たちの自分への期待の高さを感じる日々でもあった。やがて八幡さん自身も、ホステスをしながら、被害者支援の現場へ。ところが、自身が同棲相手からDV被害に遭うも、被害者支援現場は知り合いだらけ。被害を誰にも相談できなかった。
24歳で東京に来て、30代でフリーランスのウェブ映像制作者として働いていた矢先、打ち合わせと言われて出掛けた先で、同業の年配男性からレイプ被害を受けた。仕事で関わらざるを得ない人だったため、その後も被害は続いた。キャリアや仕事上の信頼を失う恐れから一人で抱えていた八幡さんは、被害から逃れるために、仕事を離れざるを得なくなった。フリーランスのため、労災も雇用保険も、傷病手当もなかった。また、被害中に撮影された動画や写真もあり、リベンジポルノのリスクもあった。
続きは本紙で...