(c)宇井眞紀子
昨年11月1日、ホームヘルパー3人が立ち上がった。労働基準法が守られない劣悪な労働環境の原因は、事業所にではなく、介護保険の仕組みにあり、国は規制する権限を行使しなかったとして、国家賠償請求訴訟を提起したのだ(詳細2面)。
その原告の1人が、藤原るかさん。小柄だけどがっしり、どこか人をホッとさせる笑顔と温かい語り口。「介護保険誕生から20年。要介護1・2すら介護保険から外す議論が出てきた今、根本で支えている私たちが言わないと」「移動や待機時間も急なキャンセルも支払われない。移動だけで年間50万円のタダ働き。介護保険の制度自体が無償労働をいっぱい生むシステムって言えないか。あれもこれも証明したい!」と意気込む。
国賠訴訟を提起して一番反響があったのは、ヘルパーよりむしろ家族介護者だったという。訪問介護の現場は今、深刻な人手不足。病院から退院したくても、ヘルパーが見つからないからできない、入浴が月1回になってしまう…。「人手不足は、国がホームヘルパーの劣悪な労働環境を放置しているから。そのしわ寄せは、高齢者や周りの家族を直撃しているんです」
スポーツが大好きで、障害児の水泳コーチをしていた。他にも働き口を探していたら、ある保護者からホームヘルパーを勧められ、4人の幼子を抱えながら35歳で都内福祉事務所の公務員ヘルパーに。介護保険誕生前の「措置時代」。月給制で、経験豊かな先輩たちに支えられ、現場での問題点をすぐに事務所に持ち帰り改善した。憲法や福祉を勉強したのもこの頃だ。「当時は入浴介助ができなかった。刑務所で週2回15分の入浴があるのになぜ高齢者にない?と迫って、医療職立ち会いで入浴できるようになったんです」
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