(c)谷口紀子
げいまきまきさんは、パフォーマンスで服を脱ぐ。裸になる。時には全裸にもなる。初めて見た時は、えっ、ハダカ…?どうしよう、とビビってしまった。そしてすぐに思った、なぜ他人の裸にこんなに動揺するのだと。
「私は全裸になってもエロな感じにならないでしょ。おっぱい大きくないし、ウエストも細くないし尻もデカくないし、みんなが期待するものを何ひとつ持ってない。裸になっても、みんな『これはどういうこと?』って思うでしょ。だから、これは使えるな、と思ってん」。服を着ることとハダカ。「でもね、私は裸になるけど、だからって、何でもしてもええとは思うなよ、という気持ち」。男に媚びるために服を脱ぐんじゃない。これが、私が敬愛するげいまきまきさんだ。パフォーマンスだけじゃなく、セックスワーカーが安全・健康に働くための活動を行っている。
最初の仕事は、エステティシャン。客がどんな仕事をしているかで、身体のどこに負担がかかっているかがだんだんわかってくる。仕事っておもしろいなぁ、世の中にはいろんな仕事があるんやなぁ、と思っていた時、「女王様募集」の求人を見つけた。
「女王様って何? どういうこと?って思いました。私『どういうこと?』に弱いんです。どういうことやろ、と思ったらガ~と行ってしまう」。そこは老舗のSM専門店で、先輩女王様が手取り足取りていねいに教えてくれた。なかなかおもしろい、味わい深い仕事やなぁ、と思ったが、どうも自分は女王様には向いていない。 「私はホンマに不器用やから、ハイヒールでつまずくし、女優やってるくせに台本も棒読みになってしまって…」。
続きは本紙で...