(c)落合由利子
女はなぜ、ヒールやパンプスを強要され、足をケガしながら仕事をしなければならないのか。男はぺたんこ靴なのに―。今年1月、一人の女性のそんなSNS上でのつぶやきが、#KuToo(#MeTooにかけ、靴、苦痛を表す)のハッシュタグと共に世界を駆けめぐり、社会を変えつつある。
うねりを作り出した石川優実さんは、〝フォーマル〟という名の下に押さえつけられてきた、パンプスやヒールを強要されることによる女たちの痛みや苦悩を、「性差別」と喝破した。気付かされた多くの女性たちが賛同した。私もその一人だ。 11月には『#KuToo 靴から考える本気のフェミニズム』(現代書館)を出版。石川さんの経験、怒り、学びがぎっしり詰まった一冊だ。「私が#MeTooをしてからキレッキレ(?)のキレキャラフェミニストになるまでの過程を楽しんでほしい」(同書)
「モーニング娘。に憧れて育つ。スカウトを機に芸能界へ入り、グラビア女優として仕事を始めた。そこで遭遇したのは、「ビジュアルがよくないから、もっと露出をしなければ仕事がない」という脅し。「背が高くて細くて可愛くて…みたいな男性の勝手な評価でコンプレックスを持たされていたんですね」。撮影はどんどん過激になり、自分が望まない体の部分を勝手に映像に盛り込まれたことも。でも「仕事がなくなるかも」という恐怖から何も言えない。そして性接待強要に追いこまれ、性接待をめぐる詐欺にも遭った。2017年末、米ハリウッドに端を発した性暴力告発キャンペーン#MeTooで、日本のブロガー・作家、はあちゅうさんが、会社員時代に上司から受けたセクハラを告発。石川さんは「私の経験と同じ種類のやつだ。これは私が言いたかったこと、言わなきゃいけないことだ」。自身のグラビアでの経験をネット上で告発した。
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