(c)落合由利子
昨年12月、フェミニズム専門の出版社「エトセトラブックス」が誕生した。「エトセトラ」は「いろいろ」「等々」の意。「まだ伝えられていない女性の声は無限にある。そんな女性たちの〈エトセトラ〉を届けるフェミプレス」だ。今年5月に刊行したフェミマガジン「エトセトラ」は、漫画家・田房永子さんが責任編集長。テーマは「コンビニからエロ本がなくなる日」。今年1月、コンビニ各社が8月末までに成人向け雑誌販売を中止すると発表。それ自体は喜ばしいが、今まで堂々と陳列されてきたエロ本がぬるっとなくなることに対し、いったいコンビニのエロ本とは何だったのか、販売中止反対派やエロ本制作現場の声も交えて作られた。雑誌は今や4刷だ。
エトセトラブックスを立ち上げたのは、河出書房新社で15年間編集者を務め、『ママだって、人間』(田房永子著)や『奥様は愛国』(北原みのりほか著)など数多くのフェミニズム本を世に出してきた松尾亜紀子さんだ。 「作っている本の中身は今までの続きなんですよ。でもフェミニズムと打ち出すことで、こんなに求められていたことを改めて知りました」
長崎県で生まれ育つ。3姉妹の一番上で、家庭の中で表立った男尊女卑があったわけではない。でも母は常に父のサポート役で、父の意向がいつも忖度された。「それでも“女は男を手の上で転がしているから、実は女の方が強いんだよ”という欺瞞に満ちたダブルスタンダードが、まんべんなく根付いている環境でしたね」 大学に入り、上野千鶴子、斎藤美奈子、北原みのりなどのフェミニズム本に出合った。「女性学って上野さんが言うように究極の“当事者研究”だから、自分の経験に引きつけることができて面白かったですね。世界が広がったし、考え方の道筋を初めて得たと思いました」
続きは本紙で...