(c)谷口紀子
「私、うさんくさいでしょ!」。会うなりガハハと豪快に笑った。きれいにネイルを施した手先や、美しく手入れが行き届いたヘアスタイル、センスの良いファッションにもかかわらず、どこか大阪のおばちゃん的人なつこさが漂う。「女性のための住まいのコンサルティング」を仕事とする「オフィスVER(ウェール)」の春田美砂子さんの第一印象だ。「女性が一人で」「女性のための住宅のコンサルタントをしている」と聞くと、確かにうさんくさいかもしれない。いったいどんな仕事をしているのだろうといぶかしく思われていることを、春田さん自身が十分承知している。
「大学を卒業してから、ずっと不動産業界で働いてきました。最初に働いていた会社は、幸い上司にも女性が何人かいて、女性に対する差別的な扱いはなかったですね。でも、私はこういうタイプやから、男性からでも言われたら言い返しますから」。そのあと中途採用で入った不動産会社では営業職ではなくて専門職だからか、いきなり管理職扱いだった。「そこは今まで女性管理職はゼロだったので、風当たりは強かったらしいですね。でも、らしいなんで、本人はぜんぜん気付いてないのよ(笑)」。働いていた不動産会社が、徐々に高齢者対象へと事業を強化する方向へ向かうなか、当初から思っていた女性に特化した不動産コンサルタント業にこだわりたい気持ちがさらに強くなっていった。同時に、シングルマザーとして子育てしながら仕事をしてきたなかで、今までたくさんの人に支えられてきた恩返しをしていきたいと思っていた。
そんな頃、たまたまテレビで「NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ・関西」のことを知り、「これだ!」とピンときて、すぐに電話をかけた。 「こんな会があるんだ、と驚きました。電話で教えてもらったおしゃべり会に行ってみて、またまたビックリ。皆さんいろんな問題を抱えて、とても大変な思いをされている。正直、カルチャーショックでした」。
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