(c)落合由利子
SDGsとはSustainable Development Goals(持続可能な開発目標)のこと。このままでは続かない世界を、続けられる世界にしようと、2015年9月の国連サミットで採択された目標だ。「誰一人取り残さない」を理念に、30年までに貧困をなくす、環境を守る、ジェンダー平等や平和・公正を実現する等、17の大目標と169のさらに具体的な目標を定めている。
これまで個別に対処してきた課題を、つながりで捉え解決を図るのが画期的なところ。長くNPO支援に携わってきた新田英理子さんによれば、背景には1990年代に始まった市民運動の連携があるという。
「世界中で反貧困で活動してきた人々と、環境問題で頑張ってきた人々が『バラバラじゃうまくいかない。包括的に経済と社会と環境を考え、一緒に活動しよう』と動いたのです」
日本も他人事ではない。「食料自給率だけ見ても、世界と連携しなければ生活は成り立ちません。先進国で日本ほど水害死者の多い国もない。世界3位の経済大国の足元は脆弱です」
脅す必要もないが、楽観は許されない。危機を冷静に認識しみんなで対処する。それを推進するのが新田さんの仕事だ。 SDGsの啓発のために企業や学校で講演をしたり。反貧困や公害、ごみ問題など、専門の異なる団体や人の連携を図る。政府に政策提言もする では政府自身の取り組みは? 首相以下、全閣僚から成るSDGs推進本部が作られたものの、「独自の法整備や政策を立ち上げる代わり、既存の政策にSDGsのラベルを張るだけ」。 例えば、「一億総活躍社会」がSDGsだと言う。「でも、人は存在するだけで基本的人権を尊重される。活躍しなきゃダメ、ではなく、なぜ活躍できない状況にあるかに目を向け、環境整備するならいいですけれど」
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