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インタビュー

『転校生は かがくぶっしつかびんしょう』作者

武濤洋さん

  • 2019.7.15
  • 聞き手…柏原登希子
  • 撮影…落合由利子

 武濤洋さん

(c)落合由利子

広めたい。無理なく、嫌みなく

 

 今年4月、絵本『転校生は かがくぶっしつかびんしょう』(ジャパンマシニスト社)が出版された。転校してきた「まつおかさん」は化学物質過敏症で、ゴーグルにマスク、帽子に長袖、といういでたち。みんなが着ている服の洗剤や柔軟剤、使っているシャンプーなど、化学物質で作られたニオイで具合が悪くなってしまう。まつおかさんと一緒に遊ぶにはどうしたらいい? 子どもたちは自分にできることを考え始める―。

自身も化学物質過敏症の武濤洋さん(作)と、同じ過敏症の吉野あすもさん(絵)が作ったこの絵本は、「ノンVOC(揮発性有機化合物)インク」で印刷し、製本は針金止めにした。

「過敏症のほとんどの人が、インクへの反応で苦しまずに読めたみたいで、『久しぶりに読める本だ』って言ってくれたんです。その言葉が胸に突き刺さりました」と武濤さん。自身も一時は印刷物のインクや紙の漂白剤にも反応した。今は症状が改善したが、外出の際は活性炭入りマスクや有機溶剤作業用の防毒マスクが欠かせない。

 合成洗剤や布用消臭剤も使う「普通の生活」をしていた武濤さん。2017年4月、職場の配置換えで隣と向かいの席が喫煙者になった。職場は禁煙だったが、喫煙者のたばこ休憩の後、咳が出るように。6月、隣の人がいつものようにたばこ休憩から帰り消臭スプレーを使い始めたその時、「ドッカーンと喉がつまるような咳が止まらなくなってしまったんです」。

大学病院では「アレルギー性喘息」と診断されるが、喘息用の薬は効かない。おかしいと思った武濤さんがウェブサイトで受動喫煙を調べると、化学物質過敏症に行き当たる。日本で数少ない専門病院へ行き、化学物質過敏症と診断されたのは、発症から3カ月後。「初動がよかった。友人はお腹に症状が出て、精神科にも回されて、診断までに何年もかかりました」。

        続きは本紙で...


たけなみ よう

東京都で生まれ育つ。ノンバイナリー(出生時に割り当てられた女性・男性の性別のいずれでもない)。「鴻鵠ブラザーズ」の名で、『カナリアのとなりに』など化学物質過敏症や、石けんの使い方の冊子を多数制作。「武濤洋」「松岡おまかせ」でもTwitterで検索。

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