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職場でのセクハラ被害と、その後支援者と出会い、セクハラによる体調不良を労災と認定させる画期的判決を勝ち取った道筋を記す『セクハラ・サバイバル わたしは一人じゃなかった』(佐藤かおり著、三一書房)が、今年3月に出版された。支援者と共に闘い、政策を変えた佐藤さんの行動に励まされた。
佐藤さんが被害に遭ったのは2003年、北海道函館市で派遣社員として働いていたときのこと。上司からのセクハラで心身に変調をきたして、次第に自分を失っていった。派遣先や派遣元会社、労働組合にも被害を訴えたが聞き入れられず、我慢を強いられ、誰も助けてくれなかった。加害者からのさらなるパワハラにも遭った。
「人生終わりにしたい」と絶望しかけた時に、病院で相談カードを見つけ、女性支援団体の「ウィメンズネット函館」を知る。06年のことだ。しかし、すぐには電話できなかった。どんなに相談しても傷つけられ、無力感に苛まれていたから…。でも、これが最後と心を決めて電話すると扉が開いた。
「話をすると、よくここまで頑張ったと言われて。謝罪や解決金を求める、再発防止を会社側と交渉する、といった、私がやりたかった選択肢も示されて。こんなにもできることがあると知って、ほっとしたんですね。涙が出てきました」
ウィメンズネット函館の女性スタッフによる親身な支援で、佐藤さんはゆっくりと自分を取り戻していった。当時を振り返り、「#MeTooという名前はなかったけれど、名もない女性たちの脈々とした運動は以前からあって、私はその運動に救済された一人」と言う。
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