(c)柏原登希子
障害を持つ女性として社会を変えてきた活動家で、ピアカウンセラーの安積遊歩さんの娘、と聞けば思い当たる人が多いのではないか。遊歩さんと同じく生まれつき骨が弱く、車いすで生活をする安積宇宙さんは今年、遊歩さんと共に『多様性のレッスン』を上梓した。 本書は、子育てや恋愛、「子どもの五体満足をのぞむのは当たり前?」、障害を持つ人からの「やまゆり園事件後、外出が怖い」など、さまざまな相談に遊歩さんと宇宙さんが答える。宇宙さんの言葉を読み、心のひだにすっと入る柔らかさと芯の強さに、心がふとほどけた。
小さい頃から、家には父母のほか知人や友人が5、6人いて、一緒に暮らしてきたという。「その生活がとても好きだったし、よかったです。両親のケンカは絶えなかったけど(笑)、他の人が常にいたので逃げ場があったし、みんなが私のことを尊重することではぶれなかったんです」。小学校2年生の途中から、「なんで車いす乗っているの?」と大勢に聞かれ続けることに疲れ、不登校に。父が始めたフリースクールで学んだ。 だが、中学生になり、「普通でありたい」と強く思うようになった。公立中学に通い、放課後に友だちとカラオケに行ったり、声のトーンを高くしておしゃべりに興じたり…。
たたかう母・遊歩さんをあまり理解しようとしていなかったとも話す。
「遊歩は忙しすぎたし、いつも怒ってる印象があって(笑)。電車に乗るとき駅員さんが乗る場所を指定すると、遊歩は自分が決める、と。そんなやり取りが週に1回はあって、なんでそんなにイチャモンつけるんだろうと、心の中で他人のフリをしてました」 ところが中学3年生のとき、障害のない友人から「宇宙は障害がある。差別されるから一緒にいたくない」と言われた。
続きは本紙で...