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インタビュー

水へのアクセスは権利だと説く

岸本聡子さん

  • 2019.2.25
  • 聞き手…清水さつき
  • 撮影…落合由利子

 岸本聡子さん

(c)落合由利子

博物館の力強さを信じて

 

世界中の公的サービスのさまざまな場面で、「民営化」が進められている。本紙では昨年9月25日号で水道事業の民営化問題を取り上げた。その中で、いったん民営化されながら再公営化が選ばれつつある世界の動きを語ってくれたのが、ベルギー在住の岸本聡子さん。歯切れのよい語り口に惹きつけられて、日本滞在中に話を聞いた。水の権利や公共サービスのあり方を研究し、政策提言に結びつける岸本さんの話は、個人史も含めて心が躍るものだった。

高校時代に開かれた「地球サミット」で、環境問題に興味を持ったという。大学生になり学外の環境NGOの活動を知る。活発な議論の姿が新鮮でのめり込み、卒業後は専従スタッフに。「手取り6万円の給料で、アルバイトしながらのサバイバルでしたが、楽しかったですね」。多くの環境問題は政府や多国籍企業の多大な影響の下で複合的に起きていることに気づき、より広い世界へ目を向けていく。

1997年の地球温暖化防止京都会議の際にはNGOとして全国キャンペーンを行い、温暖化による被害は社会的弱者に向かう、次世代にツケを回してはいけないと考えた。翌年欧州で参加したイベントで、より先進的活動をする若者たちに触発された。そこで、活動家で後に夫となる人と出会う。

 遠距離のつきあいだったが、想定外に妊娠し、焦った。子どもを育てる準備なんて全然ないし、中絶か…。ところが母の「産むこと考えなさい。私が助けるから」の一言で心が溶けた。「パートナーのことを聞く前にこの言葉ですよ。母は人間として、生活者としてすごくセンスがいいんです」。彼も「父親になる」と喜んだ。社会保障の充実度を考えて彼の拠点であったオランダ・アムステルダムに乳児を連れ、2001年に移住する。

        続きは本紙で...


きしもと さとこ

1974年東京都生まれ。ベルギー在住。環境NGOのA SEED JAPANを経て、トランスナショナル研究所(オランダ)研究員。家族はデンマーク人の夫と息子2人。新著は『安易な民営化のつけはどこに』。新作DVD『最後の一滴まで ヨーロッパの隠された水戦争』の日本語版を監修。

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