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インタビュー

両親の老老介護を撮影・監督、映画化した

信友直子さん

  • 2018.11.15
  • 聞き手…栗原順子
  • 撮影…落合由利子

信友直子さん

(c)落合由利子

「ぼけますから、お願いします」

 

現在公開中のドキュメンタリー映画『ぼけますから、よろしくお願いします。』は、広島県呉市に住む認知症の母親(現在89歳)と父親(98歳)を、ひとり娘の、映像ディレクターの信友直子さんが撮影し、監督した作品だ。認知症の患者自身と家族の悩み、老老介護の現状が描かれているが、決して暗くない。両親と、東京から時々呉に通う信友さん家族の泣き笑いの日常。ユーモアのある3人が話す呉弁がほんわかあったかい。

娘の視点で撮った両親の映像はテレビ番組になっている。2016年と17年に、「娘が撮った母の認知症」などのタイトルで放送された。自身の認知症に戸惑う文子さんと、妻を支えようと95歳で初めて家事をする良則さんの姿は大反響を呼んだ。映画は、これを基に追加取材と再編集して仕上げた。

「テレビ番組も映画製作の話があった時も、プライベートなことを他人様に見せていいのかという葛藤を抱えましたが、認知症患者を、患う前から撮影した作品はあまりないからと口説かれ、誰にも起きうる老いや病、介護をテーマに作る価値があるかなと思いました」

信友さんは17年前から両親をプライベートで撮っていた。活動的な文子さんが徐々に変わる様子、認知症と診断された場面も撮っていた。たまった洗濯物の上にふて寝したり、「私ばかになって…どうしたんじゃろ」と泣く文子さん。耳が遠い良則さんが買い物をするようになり、慣れない手つきでリンゴの皮をむく。2人を見て笑ったり泣いたりしながら撮る娘。ヘルパーの訪問介護が始まると生活に変化が訪れる…。

 「もう両親はビデオカメラを向けても身構えることがなくなっています。だからすごいリアルな認知症患者と老老介護を見ていただけると思います。2人は、自分たちがテレビや映画に出ることに対しても、〝直子の仕事なら協力するよ〟と言ってくれて。なら私はきちんと撮るのが使命だと思いました」

        続きは本紙で...


のぶとも なおこ

1961年広島県生まれ。86年テレビ映像制作会社に入社。ドキュメンタリー制作に携わる。「NONFIX 青山世多加」で放送文化基金奨励賞ほか、ニューヨークフェスティバル銀賞、ギャラクシー賞奨励賞など受賞多数。現在フリー。『ぼけますから、よろしくお願いします』は東京・ポレポレ東中野ほかで公開中。

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