(c)大藪順子
今年3月16日、東京都議会文教委員会で、古賀俊昭都議が、避妊や中絶を教えた都内の中学校の性教育授業を取り上げ、中学校の学習指導要領にない内容だとして「不適切」「問題がある」と批判した(2面)。ほどなくして、オンライン署名サイトのchange.orgに、「中学生に健康と安全のための包括的な性教育を!」キャンペーンが立ち上がり、あっという間に約1万8000筆の署名が集まった。立ち上げたのは、性の健康を学ぶ場づくりを行うNPO「ピルコン」代表の染矢明日香さんだ。
「アンケートで『性交』という言葉をいつ知ったかを聞いたら、15歳未満が92%。実際に性行為をしている子もいます。yahooのアンケートでも、中学で避妊や中絶を教えてほしいという意見が91%。なのに中学の学習指導要領だけ『発達段階に合わない』なんて、社会からずれてます」と染矢さん。今、動画、AV、漫画など偏った性情報があふれている。一方10代の中絶件数は年間約1・5万件、出産しても、貧困などさまざまな社会的リスクに直面する。
ピルコンでは、中高生を対象に、性とライフプランニングの知識を大学生や若手社会人など中高生に身近な立場から伝える講演を行い、これまで100回以上、のべ1万5000人を対象に講演を行ってきた。事前アンケートで見えるのは、性知識の乏しさだ。高校生でさえ、膣外射精が避妊だと思っていたり、ピルは性感染症予防にならないと知らなかったりなど、正答率は平均3割、半分以上の子はわからないと答える。しかし講演後は正答率は7割になり、避妊への実行意思が約20?向上し、約75%が「妊娠を望まない時は避妊ができる」と回答する。
「今の子どもたちがこんなに知らされていないということに憤り、不条理さを感じます。学校でライフスキルとして正しい知識を伝えることが大切です」
続きは本紙で...