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インタビュー

コミックエッセイ『働く、働かない、働けば』著者

巳年キリンさん

  • 2018.3.15
  • 聞き手…梅山美智子
  • 撮影…落合由利子

巳年キリンさん

(c)落合由利子

「普通」が、今、とてもしんどい

 

働くって何だろう。この疑問を真正面から考えたコミック『働く、働かない、働けば』を読んだ。作者の巳年キリンさん自身は非正規労働の経験を持つ。不安定で先の見えない状況の中、働く人たちの分断、過重労働に悩みつつも、同じ仲間を見つけてオルタナティブな生き方を見つけようとする内容に心打たれる。彼女は1978年生まれ、「失われた20年」をまっしぐらに生きている世代でもある。

巳年さんが高校を卒業し、社会に出ようとしたころは、就職氷河期に差しかかる時代。学校を通して就職先を探したが決まらず、将来は不確定。だが漫画家になりたいという夢はあった。創作をしながらのアルバイト生活が始まった。  どういうわけか、1つの仕事に長く取り組むことに困難を感じた。人間関係やさまざまなストレスが重なるとつらくなってしまうのだ。やがて、派遣労働者として工場などで単発の仕事を繰り返すようになった。

  「人とのかかわりに消耗してしまうんですよね。1週間ぐらい働いて、疲れ切って、また休むという感じでした。家ではテレビを見て、ワイドショーの言うことは何でも正しいと信じる“ワイドショー脳”。軽く右傾化もしてましたね」

司馬遼太郎などの時代小説も読みあさった。自分に似た登場人物が出てこない時代物なら、読んでいて気が楽だったからだ。傷つかないで済む方法で、自分を癒やしていた。  幼稚園のころから、周りのペースに何となく合わせられない自分を感じていた。学校は行ったり、行かなかったりの繰り返し。恋愛話でも、周りの友人と一緒に盛り上がれなかった。

        続きは本紙で...


みどし きりん

1978年、埼玉県生まれ。高校卒業後、日雇い労働者、訪問ヘルパー、事務職など非正規労働に従事する。2017年『働く、働かない、働けば』(三一書房)を著す。これまでの作品に「宝かくしのメリー」などがある。

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