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インタビュー

映画化された『きみはいい子』の小説家

中脇初枝さん

  • 2015.6.15
  • 聞き手…柏原登希子
  • 撮影…飯田典子

中脇初枝さん

(C) 2015「きみはいい子」製作委員会

みんな「べっぴんさん」だよ

 
  • 「映画化には不安がありました」と中脇初枝さんは言う。2012年に出版されるや、坪田譲治文学賞や13年本屋大賞第4位に輝いた『きみはいい子』(ポプラ社)。優柔不断な新米教師、幼い頃に虐待され心に傷を負う母親、戦争の記憶とともに生きる老女などが織りなす、「虐待」を題材にした短編小説集が、呉美保監督により映画化され、6月27日から東京・テアトル新宿ほかで全国公開される。執筆のきっかけは、10年に起きた大阪2幼児置き去り死事件。「虐待のことは書きたいとは思っていたのですが、ずっと先延ばしにしてて。でもあの事件が起きて、もう待ったなし、だなと」
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  • 新聞には連日のように、親が子どもを虐待死させるニュースが載っている。しかし「事件をたどると、自分の周りに起きていることと同じなんです」。叩く、厳しいしつけ、育児放棄、無関心、子どものありのままを認めない…。「私はよく言うんですけど、犬を散歩させていても虐待には気づける。田舎だろうが、都会だろうが、経済的に恵まれていようが、3世代で暮らしていようが、どこでも、私にも誰にでも起きうると思いました」。だから、舞台はどこにでもあるような新興住宅街。
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  • 虐待を受けた人のほか、虐待した人にも話を聞いた。そこで気づいたのは「した側」が抱える深く、重いもの。「擁護するわけではなく、した側のつらさをくみ取らないと虐待は無くならないと思いました」。子どもにも、大人にも、自分にも「きみはいい子」と言ってほしい。そして誰もが自分をかけがえがないと思ってほしい。多様な人々が行き交う町で、一人一人は非力でも、できることはある。そんな願いと希望が込められた小説。
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  • 映画化への不安は、呉美保監督への信頼と、美しい映像、子どもたちをはじめとする俳優の素晴らしい演技に吹き飛んだ。
  • 続きは本紙で...


    なかわき はつえ

    1974年徳島県生まれ、高知県育ち。高校在学中に『魚のように』で第2回坊ちゃん文学賞受賞、小説家デビュー。『きみはいい子』の続編『わたしをみつけて』で山本周五郎賞候補。児童書『あかいくま』『こりゃ まてまて』のほか『祈祷師の娘』『こんこんさま』『みなそこ』など。

    【 新聞代 】(送料込み)
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