〈国 旗〉*2014年
新鮮な空気を求めて、水面に顔を出すけれど吸えない息苦しさ、鬱屈感… 。与党が3分の2以上の議席を保つ結果となった衆議院議員選挙が終わり、特定秘密保護法が施行された、今の感覚である。
上の絵は、和歌山カレー事件で2009年に死刑が確定した林眞須美さんによるもの。事件に使われたヒ素と林さんの家の台所から見つかったヒ素が「同一」などの状況証拠のみで死刑判決がくだったが、14年5月には別の鑑定結果で「同一とするのは矛盾」と発表があった。林さんは一貫して無罪を主張し続けている。そんな林さんが描く「国旗」。日本中が言祝ぐ(とされる)新年に、訴える。国家に命を奪われるかもしれない怒り、恐怖、嘆き、絶望、悲しみ…。
新年号は「私の元気、私がつくる」。押しつぶされず、前を見続け、歩き続けるための方法を探りたい。(編集部)
続きは本紙で...
林 眞須美
ヒ素入りカレーを食べて4人が死亡した、「和歌山カレー事件」で1998年12月に逮捕され、2009年4月死刑が確定するも、再審請求中。一貫して無実を主張している。
掲載の作品は、2014年で10回を迎えた「死刑廃止のための大道寺幸子基金」が主催する「死刑囚表現展」に寄せたもの。