私たちに「賞味期限」はない
今年の4月1日を大椿裕子さんは複雑な思いで迎えた。4年間勤めた関西学院大学を雇い止め解雇となって4年。大椿さんの後任として採用された、かつての同僚も解雇されたのだろうか。そしてまた4年後の雇い止めを前提とした採用がなされたのだろうか。
「バカにするな」。力をこめてブログに記した。
障害学生支援コーディネーターという仕事は、大学で社会福祉を学び、車いすで生活する親友と暮らしていた大椿さんにとってぜひともやりたい仕事だった。最初から4年と雇用が区切られていることに違和感はあったが、募集そのものが全国的にも少なかったうえにほとんどが有期雇用での採用だった。「この仕事がしたいなら有期雇用という条件をのむしか選択肢がないというスタートでした」
充実した日々が始まった。しかし頭の隅では常に「4年」という数字が点滅していた。一方、働き始めて間もない頃、違う部署では有期雇用から嘱託へと雇用の形を切り替えたうえで継続して働いている人の存在も知る。待遇は悪くなるが仕事が続けられるならと大椿さんは望みをもった。
関西学院大学における障害学生支援は、大椿さんたちコーディネーター2人とアルバイト2人とでゼロから少しずつ形にしていった。全員女性だった。大椿さんたちがいなければ困ると、部長と課長が人事課に継続雇用をかけあったこともある。しかし4年目に入る直前、「もう自分たちにやれることはない」と大椿さんに告げてきた。「まだ1年あるのに。じゃあ自分でやります、と言ったんです」
それまでも上司に任せきりだったわけではない。関西学院大学の教職員組合は非正規労働者を受け入れていないが、信頼できると思った数人の教職員に相談した。すると全員が「大学の方針は変わらないだろう。ここでイヤな思いをするより他を探したほうがいい」と口をそろえた。
続きは本紙で...
おおつばき ゆうこ
1973年生まれ。関西学院大学障害学生支援コーディネーター雇い止め解雇事件被解雇者、大阪教育合同労組副執行委員長。社会福祉士、精神保健福祉士の国家資格を取得し、大学やNGOで障害者支援に関わる。現在は大阪教育合同労組の専従職員。