WOMEN'S DEMOCRATIC JOURNAL femin

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インタビュー

被災地で女性支援を続ける助産師

五十嵐ゆかりさん

  • 2011.10.25
  • 聞き手…赤石千衣子
  • 撮影…飯田典子

五十嵐ゆかり

〝オンナのなっても袋〟を持って支援

大震災が起こってから、さまざまな団体が女性支援にかかわっている。難民支援協会から女性支援の依頼を受けて、助産師の五十嵐ゆかりさんは4月初めから被災地をまわった。  「初めて陸前高田に入った時…言葉がなかったです。なんで岩手なんだろうと思って」  岩手県花巻市で育った五十嵐さんにとって、あまりにもつらい光景だった。  東京で看護教育に携わる五十嵐さんは、週末に花巻直行臨時航空便を使って現地へ通った。  「花巻から来た助産師です」と言うと、多くの人の表情がふっと変わった。  ただただ、津波の体験を話す人が多かった。聞きながら五十嵐さんも泣いた。半年後にその話をする五十嵐さんはまた泣いた。必要な物資はあるのか、女性の清潔維持に必要なものは、女性の保護に必要なものは何なのか、ニーズを調査した。  1カ月後、五十嵐さんたちは、女性たちの支援のためのグッズを開発した。名付けて「オンナのなっても袋」。「なっても」は花巻弁で「なんでも」の意だという。  化粧水、保湿クリーム、石けん、ビデ、笛、ポーチ、鏡、生理用ショーツ、パンティライナー、リーフレットとレスキューカードが添えられて、そのあとも使えるエコバッグに入れられていた。  たとえば、ビデ。  自衛隊が、次の入浴日を数日前に教えてくれるが、たまたま生理の日と重なると入れない。そこで、「〝おしも〟の清潔を保つため」にビデを入れた。避難所では女性は外陰部の清潔を保つのはむずかしく膣炎や膀胱炎になることもある。水をかけるだけでもいいんですよ、と配るときに伝えた。   「あとで避難所をまわった保健師さんたちからとても好評だったと聞いてうれしかった」  そして笛。被災地で性暴力被害が増えることは知られている。余震が続く被災地でがれきに埋まってしまったときにも役に立つ、と薄い笛を用意した。  「そっとエプロンのポケットに入れて差し上げました」
続きは本誌で...


いがらし ゆかり

1972年岩手県生まれ。高校時代は剣道部で「根性をきたえ」、助産師に。現在聖路加看護大学教員。難民支援協会の被災地支援のコーディネート等で活躍。
難民支援協会
http://www.refugee.or.jp

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