フェミニズムと戦争協力 見えなかった過去から学び、未来をつくるために
鈴木裕子 著
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フェミニズムと戦争協力 見えなかった過去から学び、未来をつくるために
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高良とみ、羽仁説子、市川房枝、山高しげり、奥むめおといった、平和や女性運動のフェミニスト・リーダーらが、いかに戦争に組み込まれ、熱烈に協力していったのかを当時の発言や著作から詳らかにした本書。戦後の自伝等からは戦争協力の様が非常に曖昧だから明らかにしたいと、著者が1986年に刊行、97年の新刊に増補した。
満州事変には批判的だったが「支那事変」を経て体制に協力していく市川、女子の徴用を渋る政府に抗議する山高…。婦人参政権実現、労働の平等、婦女子の保護…様々な思惑や意思を超え、結局は戦争に絡め取られた。著者は別書でリーダーらの他民族や他のマイノリティへの想像力の欠如を指摘する。
「告発史観」との批判もあるようだが、今なお痛烈に、鋭く、重く私たちに問いかける。「女性運動は、女権とナショナリズムと天皇制が結合した軛から抜け出せていないのではないか」と。(盟)
女が読み解く『歎異抄』 親鸞の教えは間違いなく伝わったのか
源淳子 著
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- 女が読み解く『歎異抄』 親鸞の教えは間違いなく伝わったのか
- 源淳子 著
- 同時代社 1500円+10%
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著者は、フェミニストで仏教とジェンダーの研究者。「歎異抄」は浄土真宗の開祖・親鸞の教えを弟子が記した仏教書である。著者は仏教を学ぶ過程で親鸞と「歎異抄」に出会い、その後フェミニズムを知った。自身が束縛されていた家意識や家父長制から解放され、社会構造に目を開いたことから、「宗教的自立」を求める「歎異抄」の思想を現代に活かしたいと考えた。
本書前段は、“葬式仏教”と言いつつ、本当は仏教の教えを知らない読者(筆者も)には少々読みづらいが、著者の要約で、「歎異抄」の成り立ちや、弟子の勝手な解釈で歪められた部分と、親鸞の教えに沿う部分があることを示す。そして後段で、沿う部分をジェンダー視点で読み解く。著者は、フェミニズムとは自立を求め、権力に与しない生き方だと言う。そこから、仏教の檀家制度が家父長制の規範になっている弊害を示し、死や儀礼、仏教の女性差別、仏教界の権力志向等を説き、批判する。親鸞をも批判する著者は潔い。(三)
評伝 市川房枝 日本最大の女性政治家
進藤久美子 著
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- 評伝 市川房枝 日本最大の女性政治家
- 進藤久美子 著
- 筑摩書房2300円+10%
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父に殴られる母が「女に生まれたのが因果」と嘆くのを聞いた子ども時代。「なぜ、女は我慢しなければならないのか」。この因果に生涯をかけて向き合った市川房枝の光と影に迫る。
戦争協力については様々な史料を紐解き、市川の選択をたどる。日中戦争の契機となる1937年の盧溝橋事件までは反戦や反軍拡を表明していたが、現実を一応肯定して政府にある程度協力する道を選び、戦後に公職追放された。たとえ戦争に反対でも、反対による投獄や運動からの撤退は「逃げ」に通じると考えた。著者は、この姿を現実主義者として、ぎりぎりで抵抗し、苦難を引き受けた人物として描く。
財界と癒着した金権政治が戦争への道につながることを熟知していたため、戦後は利権追求の政治に真っ向対峙。軍備増強・改憲論議が漂う中、平和と平等を女性たちの国際的な連帯で達成すると主張した。「平和なくして平等なく、平等なくして平和なし」の言葉は今こそ重い。(春)