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ふぇみんの書評

産む自由/産まない自由 「リプロの権利」をひもとく

塚原久美 著

  • 産む自由/産まない自由 「リプロの権利」をひもとく
    • 塚原久美 著
    • 集英社990円+10%
     SRHR(性と生殖に関する健康と権利)の用語が使われることが多いが、著者は「リプロの権利」と言い、人権の一つであることから説き起こす。「妊娠・出産・避妊・中絶など自らの身体と生殖に関する決定を、強制や差別なく行う権利」で、1994年エジプト・カイロで開催の国際人口開発会議で初めて明記された。新書ながら、リプロの権利が国際的に確立するまでの歴史、人口政策に翻弄されてきた日本の中絶・避妊の歴史、2000年代の日本で政府による「リプロ潰し」、最新の世界の動きと提言からなる充実の書だ。  大事な権利であるのに、いかに国家の思惑の犠牲になってきたか。女性らの闘いと世界の動きのダイナミズムの一方で、日本の「ガラパゴス化」は目を見張る。またリプロを阻む、「水子供養」信仰のほか、「産科の暴力」を挙げ、内診台の暴力性や富士見産婦人科事件等にも踏み込む。研究の原動力となった著者自身の経験も書かれ、シスターフッドに溢れる。(黒)

    イスラエル・パレスチナ紛争をゼロから理解する

    イラン・パペ 著 早尾貴紀 監訳 広瀬恭子ほか 訳

    • イスラエル・パレスチナ紛争をゼロから理解する
    • イラン・パペ 著 早尾貴紀 監訳 広瀬恭子ほか 訳
    • 河出書房新社 1000円+10%
      著者は、イスラエル生まれのユダヤ系イスラエル人の歴史学者。2023年10月7日のハマスによる一斉蜂起が、突然で一方的な「テロ」であるかのように、イスラエルばかりか欧米・日本のメディアでも拡散された。その認識がいかに間違って、そこに至るには何があったのかがわかる一冊。  パレスチナは西岸とガザだけではなく、イスラエル建国で奪われた土地を含めた元々の土地を「歴史的パレスチナ」と認識することも抑えておきたい。シオニズム運動が土地所有の慣例を壊すと、シオニスト入植者たちはパレスチナの村人を強制的に立ち退かせ、入植地を拡大、入植者植民地主義が進められ、民族浄化が進められた。北米や中南米で入植者が先住民を追い出して植民地化したのと同じ構造がここに見える。  最後に本書は、「10・7蜂起に加わったハマス戦闘員たちはイスラエルに落とされた爆弾から暴力という言語を学んだ若者たちだった」と結ばれる。(公)

    世界史の中の「ガザ戦争」

    藤田進・世界史研究所 編

    • 世界史の中の「ガザ戦争」
    • 藤田進・世界史研究所 編
    • 大月書店2800円+10%
    「ガザ戦争」は現代の植民地戦争そのものだ。本書はパレスチナ・ガザへの攻撃を世界史の中でどう捉えるかを論じることを目的にした。一つ一つの事柄の“点”を、歴史的視点の“線”で結ぶと、世界の中の関係性や思惑が浮かび上がる。  イスラエルに“依存”するのは米国だけでない。米国が中東で戦争を繰り返すたびに、日本は戦争関連の法整備を進めた。1960年代のアパルトヘイトの時代、南アフリカはイスラエルから武器供与を受けていた歴史があるが、2023年にガザ侵攻ついてICJにイスラエルを提訴。第2次大戦中、欧米は反ユダヤ主義からクリミア半島にユダヤ人居住地建設を目論んだ(頓挫)。そして戦後、ホロコーストを生き延びたユダヤ人難民を欧米はさらに厄介者扱いしたという。中国がイスラエルとパレスチナ両方と国交を持つのは、多数のムスリムを抱えているための政策だ―。  この「戦争」に限らないが、歴史的な広い視点で見ることで、分かってくることが多い。(ま)
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