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ふぇみんの書評

和解と平和の森 北海道・朱鞠内に朝鮮人強制労働の歴史を刻む

殿平善彦 著

  • 和解と平和の森 北海道・朱鞠内に朝鮮人強制労働の歴史を刻む
    • 殿平善彦 著
    • 高文研2000円+10%
     1976年。著者は北海道・朱鞠内(しゅまりない)の光顕寺で、段ボールに入った位牌に出合った。そこから日中戦争、アジア太平洋戦争時にダム工事、鉄道工事で亡くなった朝鮮人、日本人との邂逅が始まる。  強制労働者の遺骨発掘は1997年から日本人、韓国人、在日コリアンを中心とする若者たちに引き継がれた。ときにぶつかり合いながらも、昼はスコップで土を掘り、死者と対面し、夜は酒を酌み交わして話し、歌い、かけがえのない友情を育んでゆく。2024年、雪で倒壊した旧光顕寺の「笹の墓標展示館」が、「笹の墓標強制労働博物館」として再生。戦時強制労働という、なかったことにしてはいけない歴史に向き合うことから、未来をつくる新たな営みが始まった。  北の大地に希望の種をまいた著者自らが、50年を振り返り、出会った人びととの交わりを魅力たっぷりに綴る。国や民族を超えたダイナミックな交流が広がる朱鞠内に心惹かれ、出かけたくなる。(室)

    まぶしい便り

    ペク・スリン 著 カン・バンファ 訳

    • まぶしい便り
    • ペク・スリン 著 カン・バンファ 訳
    • 書肆侃侃房2000円+10%
     派遣看護師として渡った叔母を頼り、12歳の冬から14歳の冬まで、母と妹と西ドイツで暮らしたヘミ。叔母の仲間の派遣看護師の女性たちの子どもである、レナやハンスと仲良くなったある日、ハンスから母親の初恋相手を探してほしいと頼まれるが…。  その後、大学時代にほのかな恋愛感情を抱いていたウジェに偶然再会したことをきっかけに、ヘミはハンスの母親の初恋の相手探しを再開。韓国が失業問題や外貨獲得のために、1960、70年代に西ドイツに派遣した「ドイツ派遣看護師」をモチーフに、韓国の激動の時代背景を描きながら、ヘミの現在と過去を行き来する物語。待望の著者初長編小説だ。  大切な人を亡くす喪失感、異国での不安感や居場所のなさ、嘘と罪悪感…など繊細な心の動きが染みいる。“犠牲”などの言葉で語られがちな派遣看護師の女性たちの主体性やドラマチックな人生に光を当てている。やさしさ溢れる物語に読後は幸福感に満たされた。(ぱ)

    妻の座 +ねつれつ解説

    壺井栄 著 栗林佐知 解説

    • 妻の座 +ねつれつ解説
    • 壺井栄 著 栗林佐知 解説
    • けいこう舎1700円+10%
    本書は『二十四の瞳』で知られる著者の、もう一つの代表作だそうだが、初めて知った。舞台は敗戦直後のプロレタリア文学者たちの界隈で、登場するのは著者の妹・閑子とダメダメなその夫(徳永直)、著者と夫(壺井繁治)。著者の親友(佐多稲子)や大アネゴ格作家(宮本百合子)も精彩を放つ。著者は、教師一本で生きてきた妹を、妻を亡くした知人の作家と結婚させた。そこから、当時はまだ名前もないルッキズムや性別役割分業、シャドウワークを、これでもかとあぶり出す。“結婚”に苦しめられる女たち、「妻の座」という言葉…。まさにフェミニズム小説だ。  だが、時代背景等は今では理解しづらい。本書後段は解説者による〈ねつれつ解説〉。「壺井栄をナメるなよ!」と、熱く鋭い筆致で著者の家父長制や人権意識等を読者に問いかける。曰く、著者は、進歩的な顔をして女を使い捨てる男たちをはり飛ばしている、自身の混乱も真摯に書き留めている、などと。壺井栄、もっと読んでみたい。(え)
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