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ふぇみんの書評

グレートウーマンに会いに行く それぞれの人生と活動にリスペクトを込めて

福島みずほ 編

  • グレートウーマンに会いに行く それぞれの人生と活動にリスペクトを込めて
    • 福島みずほ 編
    • 現代書館2500円+10%
    元気の出る本だ。参議院議員の編者が大尊敬する女性22人を訪ね、仕事や人生の話を聞く。  「日本に宝物があるとすれば、全国津々浦々の、現場でネットワークを組んでやっている人たちだと思っている」「そんな女たちこそが日本の希望であり、支えである」と言う編者が紹介するのは、沖縄で性暴力問題に取り組む高里鈴代さん、介護保険制度改悪に反対する小島美里さん、関東大震災後の朝鮮人虐殺の問題に取り組む山本すみ子さん、映画監督三上智恵さんのほか、袴田ひで子さん、上野千鶴子さんなど、自ら発光しそうなほど存在感のある女性たちだ。ふぇみん関係者や、1面インタビューなどで紹介された人も少なくない。  22人が、「できることから一緒にやりましょう」とやさしく力強く誘いかけてくる。誰よりも現実の厳しさを知っている彼女たちが全員、あきらめていない、そのことに勇気づけられる。(雪)

    2月1日早朝、ミャンマー最後の戦争が始まった。

    F・ドゥボミ 著 L・クォンシン 画 ナンミャケーカイン 訳

    • 2月1日早朝、ミャンマー最後の戦争が始まった。
    • F・ドゥボミ 著 L・クォンシン 画 ナンミャケーカイン 訳
    • 寿郎社2000円+10%
    コミックだが、幾重にも深さを感じられる。フランス人ジャーナリストが脚本を書き、香港の国安法成立を受け台湾に移住した香港人アーティストが作画を担当し、台湾で出版された。日本語版は在日ミャンマー人が翻訳、翻訳者による解説と年表、全国のミャンマー人からのメッセージも掲載している。漢字にルビを振る等、子どもや日本語学習者等への読みやすさも配慮、関わった人全ての思いが溢れ、ていねいに作られた宝石のような本だ。地方の良心的出版社から発行されたこともうれしい。  2021年2月の軍事クーデターから4年。ミャンマーでは軍の暴力で5000人以上が亡くなり、2万7000人が逮捕され、330万人が難民になり、全人口の半数が貧困状態にある。日本に住むミャンマー人は約11万人だ。ミャンマー国内の人々とともに世界各地のミャンマー人が、連帯して軍政を倒そうと闘っている。彼らの声に耳を傾けること、抵抗のシンボルとしての3本指を、私も掲げよう!(の)

    都市の緑は誰のものか 人文学から再開発を問う

    太田和彦、吉永明弘 編著

    • 都市の緑は誰のものか 人文学から再開発を問う
    • 太田和彦、吉永明弘 編著
    • ヘウレーカ2800円+10%
     東京・神宮外苑のイチョウ並木伐採など再開発に反対してきたのは、これまで建築や環境アセスメントなどの科学系の専門家が多かった。だが、歴史学や環境倫理学等の人文学研究者も発言できる、という問題意識で編まれた書。  世界では都市人口が半分を占める現在、都市の自然保護に関する論点は多数ある。環境を顧みない再開発は場の持つ「物語」を潰し、未来への損失を招くこと。土地は土地所有者だけのものではないこと。「生物多様性のオフセット」(開発で損失した自然を別の場で相殺・代償すること)への批判。都市の緑をインフラと捉える「グリーンインフラ」と、水を蓄える「スポンジシティ」の概念。「スクラップ&ビルド」ではない、古い建造物の活用は社会改革に繋がること。全ての生物のための「持続可能」な都市。都市計画への市民参加の必要性。美学や詩学から環境を考える。  「明治神宮が天皇制に基づく空間であることに無批判だ」などの、視点も新たな意欲作。(三)
    【 新聞代 】(送料込み)
     1カ月800円、3カ月2400円
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