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ふぇみんの書評

裁判員17人の声 ある日突然「人を裁け」と言われたら?

牧野茂、大城聡、裁判員経験者ネットワーク 編

  • 裁判員17人の声 ある日突然「人を裁け」と言われたら?
    • 牧野茂、大城聡、裁判員経験者ネットワーク 編
    • 旬報社1800円+10%
     裁判員制度が始まって15年。裁判員候補者の辞退率は2009年の制度開始から上昇、選任手続き期日の出席率も低下し続けている。本書は市民の多くが参加したくないと感じている制度に対し、不安を払拭してくれるような待望の本。裁判員経験者17人が、質問に具体的に応え、率直に感想を語り、制度の知識や心構えについてアドバイスしてくれ、心強い。  ほとんどの人が「やってよかった」「次もやりたい」と語り、裁判後、フラワーデモや裁判に関わる活動を始めるなど、経験が生活に影響を与えたと感じていることに正直驚く。本書に登場する人が“特別”ではないと思う。その証拠に裁判所が実施したアンケートでも「よい経験」と感じた割合が96.1%。経験者と未経験者の意識のズレがよくわかる。多くの経験者が「守秘義務」の緩和を望み、心理的負担などの課題もみえる。ドラマ「虎に翼」を見て裁判に関心をもつ人が増えた中で、司法への市民参加の意義やあり方を考えたい。(よ)

    連合赤軍 遺族への手紙

    遠山幸子、江刺昭子 編

    • 連合赤軍 遺族への手紙
    • 遠山幸子、江刺昭子 編
    • インパクト出版会2500円+10%
     「浅間山荘事件」は覚えている。1972年、中学生だった。「内ゲバ」という言葉も初めて聞いた。凄惨な同志殺しを「私だったかもしれない」(道浦母都子)とは思えなかった。  本書は殺された一人、遠山美枝子さん関連の書簡集であり、被告たちから美枝子さんの母幸子さん、他遺族への謝罪等、事件直後の当事者たちの生々しい声―未公開の貴重な資料集だ。幸子さんは、事件に納得できず、子の足取りを追い、現場を訪ね、被告らへ凄まじい怒りの手紙を書いた。「一年もだまっているその気持オニです。人間の皮をかぶったオニです。…人非人オニオニ。」永田洋子さんは「本当にごめんなさい。…他の同志を殴れとの命令に対し『私にはできない』といった人です。遠山さんが正しかったのです」と謝罪を送った。  母から贈られた指輪が咎められ、粛清のきっかけになった。みんな、社会を変えるために革命を目指したはずの若者たちだ。私の心も震える。(の)

    JR冥界ドキュメント 国鉄解体の現場・田町電車区運転士の一日

    村山良三 著

    • JR冥界ドキュメント 国鉄解体の現場・田町電車区運転士の一日
    • 村山良三 著
    • 梨の木舎1800円+10%
      1980年代、国鉄の分割民営化に反対する「国鉄労働組合(国労)」を破壊するため、国鉄・JRは「脱退強要」「昇給差別」「仕事はずし」等、苛烈な差別や嫌がらせを行った。本書は身をもって体験したベテラン運転士のドキュメント。  著者は国労所属の象徴であるバッジをはずさないことで運転職を外され、廃切符の整理や清掃などを強要された。人らしく生きようとすると差別され、回避するにはまともな人間であることを捨て?冥界”に行かなければならない。国労を脱退したが、何とか人間性を保とうとする後輩。出世のため執拗に罵倒する駅長。他労組員による自宅への落書きや私物汚損。無表情の上層部取り巻き社員。怒りと共に、著者の人間に対する思いやりも垣間見える。  戦後最大の力を誇った国労を解体するための、中曽根政権による分割民営化だった。まともに生きようとする人の力を奪った結果は、その後の日本経済の沈没を招いた。(弓)
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