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ふぇみんの書評

死なないノウハウ 独り身の「金欠」から「散骨」まで

雨宮処凛 著

    死なないノウハウ 独り身の「金欠」から「散骨」まで
  • 雨宮処凛 著
  • 光文社900円+10%
この国には思った以上に社会保障の制度があるようだ。だが、それらの情報が行き届いているとは言い難い。長年貧困問題に取り組んでいる著者が、お金や生活、仕事、親の介護、健康、終活などで困った時に、どうすればよいか、専門家と一緒にノウハウを伝授してくれる心強い本だ。  生活保護、住宅確保金、生活福祉資金、解雇予告手当等々…職場のコロナ感染は労災になり、携帯をつくりにくい人が契約できる携帯もある。生死をわけるのは情報と支援ということがよくわかる。縦割り行政のせいか1カ所で多くの情報を得られず、「水際作戦」で相談者が追い出されることも。各々申請の壁も高い。でもペットがいても生活保護は受けられること、病院の入院・施設入所などでの保証人が「絶対」でないことなど、情報や相談先を知れば力がわく。  本書はサバイブするための必読書。貧困の単身者が増え続けている社会状況や政策の様々な矛盾ももよくみえる好書。(よ)

労働系女子マンガ論!

トミヤマユキコ 著

  • 労働系女子マンガ論!
  • トミヤマユキコ 著
  • タバブックス2000円+10%
マンガ研究者である著者が1970年代から現在までの「女子マンガ」のうち、労働する女子が出ているマンガを「労働系女子マンガ」と名付け、分析・考察した。  男女雇用均等法成立前後、バブル、就職氷河期、非正規雇用の蔓延…女子をめぐる社会の変化に加え、女性差別はびこる日本で、恋愛・結婚・出産等で悩み、選択を迫られるのは常に女子。しかし「労働系~」の視点で見れば、数々の作品が応答を試みているという。『ベルばら』とリブ運動の共通点、男らしさから男性を解放させる『はいからさんが通る』の紅緒の働き方と恋愛、「恋愛か仕事か」の選択を無効にする『重版出来!』、「らしさ」からの解放と自由のために軽やかに嘘をつく風俗嬢の『ちひろ』、ノリと勢いで流されて「じわじわといい仕事をする」『海町diary』、主婦の地獄を描く『ハウアーユー?』…。  働くことは生きること。一筋縄ではいかない現実があるからこそ、「労働系~」視点でもっともっと読みたくなる。(含)

時給7000円のデリヘル嬢は80万円の借金が返せない。 24歳のつばきとフーゾクの世界

つばき 著・漫画原作 うなばらもも 作画

  • 時給7000円のデリヘル嬢は80万円の借金が返せない。 24歳のつばきとフーゾクの世界
  • つばき 著・漫画原作 うなばらもも 作画
  • ころから1500円+10%
 借金をつくったつばき(著者)は、“安心して稼げる”という巧妙な言葉に乗せられてデリヘルで働く決意をする。風俗で働くつばきの、身も心もすり減らす毎日を描くコミックエッセイ。  思っていた稼ぎはなくて、だんだん生気もなくなって。時給が高くても待機時間は払われないし(いろんな業界“あるある”)、借金は減らない。性産業の闇がわかってくるけれど、抜け出せない構造なのだ。劣悪な労働環境で、性病にもなる。  出来事は漫画に、当時の感情は文章にして語られる。デリヘルという風俗業ってやっぱり搾取!とわかるつばき。人間として尊重されないと感覚が麻痺していき、他人も大事にできなくなる。ヘンと思っても言葉にできない、人に頼れなくなる(巻末に相談機関一覧あり)。この自分の体験を、今風俗で働こうかと考える女性も含めて、広く伝えたいと著者は言う。(三)
【 新聞代 】(送料込み)
 1カ月800円、3カ月2400円
 6カ月4800円、1年9600円
【 振込先 】
 郵便振替:00180-6-196455
 加入者名:一般社団法人婦人民主クラブ
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