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ふぇみんの書評

保健室から始まるトラウマインフォームドケア 子どもの性の課題と支援

野坂祐子 菊池美奈子 著

    保健室から始まるトラウマインフォームドケア 子どもの性の課題と支援
  • 野坂祐子 菊池美奈子 著
  • 東山書房2100円
保健室は性に関する事象が多数持ち込まれる。トラウマインフォームドケア(TIC)とは、支援を受ける人たちに「トラウマがあるかもしれない」との観点を持って対応する支援の枠組みのこと。本書は、「トラウマのメガネで見てみよう」を本紙で連載した野坂さんと養護教諭の菊地さんが、現場の声を基に、問題行動へのTICを用いた理解や対応法等が、具体的かつ読みやすく説明している。  なぜ、DVをする恋人と別れないのか、知らない男性とお金をもらってセックスするのか-TICで性問題行動に対応することは、子どもの背景や生育歴を知り、子どもの真のニーズを満たす。かといって問題行動を不問にせず、子どもの安全を確保した上で果たすべき責任があるとする点は、犯罪矯正にも通ずる。本紙連載イラストの坂井恵理さんのマンガも秀逸。子ども支援、保護者ほかあらゆる支援の現場で必読の書。(隋)

わたしのアグアをさがして

深沢潮 著

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  • 深沢潮 著
  • KADOKAWA1650円
勤務先が突然倒産し、結婚して専業主婦になるのもいいなと思った莉子だが、恋人からいきなり別れを告げられた。失職・失恋のどん底の中で、フラメンコを学ぶためにスペインに短期留学に行く。初めての外国暮らしの心細さと共に、習慣や文化の違いにとまどいながら、そこで出会うのは…。  両親からの“結婚プレッシャー”に窮屈を感じるが自身も結婚願望がある莉子。“普通”の幸せを望むどこにもいそうな30代の女性が小説の主人公だ。生きづらさを抱え、何度もふられ失敗する莉子が、スペインのまぶしい光の下、自分を縛るものから徐々に解放されるのが心地よい。迷いながらも「アグア=水、欠かせないもの」を探す物語にほっとし共感する。  この小説には格別の楽しみもある。躍動感あふれるフラメンコの場面や、主人公が訪れる各地の景色、食する料理やワインの描写が生き生きとして、何だか旅行をしている気分に。スペインに無性に行きたくなってしまう。(よ)

現代の奴隸 身近にひそむ人身取引ビジネスの真実と私たちにできること

モニーク・ヴィラ 著 山岡万里子 訳

  • 現代の奴隸 身近にひそむ人身取引ビジネスの真実と私たちにできること
  • モニーク・ヴィラ 著 山岡万里子 訳
  • 英治出版2400円
『現代の奴隸 身近にひそむ人身取引ビジネスの真実と私たちにできること』 モニーク・ヴィラ 著 山岡万里子 訳/英治出版2400円  現代の奴隷は、脅し、騙し、債務、薬物などによって自由を奪われ、経済価値がなくなるまで酷使される労働者である。その数、世界で4030万人。本書には奴隷状態を脱出して同じ境遇の人を救うために活動する3人の「サバイバー」が登場する。1人はコロンビアから日本に売られ、東京で売春を強要された。現代の奴隷は、私たちのすぐそばにいる。私たちはコートジボワールの奴隷が作ったチョコを食べ、インドの奴隷が縫った服を着て、ネパールの奴隷が造ったスタジアムでサッカーの試合を見る。カタールの奴隷制度の元凶は、日本の外国人技能実習制度とそっくりだ。  私たちができることは、まず、知ること。奴隷労働を気にかける社会・経済をつくること。本書はその具体策を示す。  著者は元ジャーナリスト。現在は財団CEOとして、会社の技術を「声なき人々」のために使う日々である。(雪)
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 郵便振替:00180-6-196455
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