ウィメン・ウォリアーズ はじめて読む女戦記
パメラ・トーラー 著 西川知佐 訳
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ウィメン・ウォリアーズ はじめて読む女戦記
- パメラ・トーラー 著 西川知佐 訳
- 花束書房2500円
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「戦争とは醜いものだ。誰が闘っていようが関係なく」と著者は言う。その上で、古代より「女戦士」が「ごくわずかな例外」ではなく、DNA鑑定等の最新の科学的手法や、資料、発掘調査等で判明しているだけでも相当数いて、指揮を取るなど中心的な軍事的役割を担った人もいるのに、なぜ存在や偉業が無視されたり、否定されているのか。女性を公的空間から締めだそうとする、今に続く構造に通じるのではないか―。本書はフェミニスト歴史家である著者が、考古学の最新知見などを駆使し、歴史の陰に隠された古今東西の「女戦士」たちを、生き生きと描き直す。
登場する女戦士は、女王、寡婦、娘、妻などの身分も立場もさまざまなら、動機もさまざま。革命の大義、信念、復讐、欲、郷里や家族を守る、「男性」として生きて自由を得る-。血生臭くも人間臭い彼女たちが歴史から消えていなければ、母性神話など吹き飛んでいただろう。キュートな装丁で、読み物としても心躍る一冊。(官)
あなたの教室
レティシア・コロンバニ 著 齋藤可津子 訳
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- あなたの教室
- レティシア・コロンバニ 著 齋藤可津子 訳
- 早川書房1600円
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初小説『三つ編み』で、娘への教育を切望するインドの母と、娘を描いた著者の第3作。舞台は今回もインド。被差別民ダリットの少女たちとフランス人女性レナが主人公だ。
元中学校教員のレナは、傷心を抱えて南インドの観光地にやってくる。そこで、食堂の下働きをする少女と、女性への社会的通念を破り性暴力と闘い、スクーターで町をパトロールする女性グループ「ブリゲイド」と知り合う。彼女たちは常に暴力に晒され、教育とは無縁だ。初めは警戒されるレナだが、次第に彼女たちに信頼され、学校をつくりたいと精力的に動き回るが、さまざまな抵抗にも遭う…。幼児婚の悲劇も描かれる。
簡潔な文体が、これはまさに今起きていることだと、読者を作品の世界に引っ張る。障壁は階級制や差別、女子教育への制限などあるが、これはインドだけに限らない。そしてなにより、あなたにも、わたしにも、生き方を選ぶ権利があるのだと励まされる。(三)
彼女はなぜ、この国で 入管に奪われたいのちと尊厳
和田浩明、毎日新聞入管難民問題取材班 著
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- 彼女はなぜ、この国で 入管に奪われたいのちと尊厳
- 和田浩明、毎日新聞入管難民問題取材班 著
- 大月書店1800円
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「親切な人たちのいる安全な国・日本」と信じて来日した、ウィシュマ・サンダマリさんの名古屋入管での悲劇的な死から1年半余り。だが、真相は未だに明らかではない。新聞記者である著者は、政府が新たな在留資格「特定技能」をつくった2019年頃から、私たちの社会は外国人を同じ人間として扱っていないと感じ始め、それは確信へと変わった。
本書は、ウィシュマさんたち入管施設の収容者やその支援者、弁護士、政治家、入管の元幹部へと章ごとに焦点を当て、入管の問題が重層的に描かれる。これまで政治的な活動をしていなかった大学生や若い社会人を巻き込んだ運動へと発展していく様子はスリリングだ。個々の証言には驚くばかりだが、中でも入管トップだった元法務省入国管理局長の「ウィシュマさんがDV被害を訴え、診療を求めたのに、名古屋入管では処置要領などに沿った対応がされていない」との告発を読み、悔恨に胸を焼かれる思いだ。(公)