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ふぇみんの書評

女パンクの逆襲 フェミニスト音楽史

ヴィヴィエン・ゴールドマン 著 野中モモ 訳

    女パンクの逆襲 フェミニスト音楽史
  • ヴィヴィエン・ゴールドマン 著 野中モモ 訳
  • Pヴァイン2700円
「パンクと女性たちの物語は、必然的に闘争の物語となる」のは、女性たちがそれぞれのやり方で自分たちの自由を追求し表現していくからだ。音楽ジャーナリストとして40年以上活躍し、自身もバンド活動してきた著者によるフェミニスト音楽史。  「ガーリー・アイデンティティ」「マネー」など4つのテーマが設定され、各章の先頭にはミックステープのようにトラックリストが並ぶ。イギリス、アメリカ、フランス、ドイツ、日本、ジャマイカ、インドネシア、中国、インド、メキシコ、ナイジェリア、スペイン、コロンビア、ロシア…国境を超えて「複数のコミュニティにおける」「声を集め」、社会/政治的背景と共に個人的なエピソードも織り交ぜながら「それぞれの違いや相互のつながりを考察」した本書。生まれた時代や場所が違っても「女パンクの逆襲」、つまり私たちの「生存(サヴァイヴァル)」の物語は続く。さぁ、あなたのミックステープにはどんな曲が入る?(有)

ごめん! 聞いて ごめんな みやらけの人々の聞き取り

大賀喜子 編著

  • ごめん! 聞いて ごめんな みやらけの人々の聞き取り
  • 大賀喜子 編著
  • 解放出版社2400円
1963年、結婚を機に大阪の被差別部落「みやらけ」の住民となった編著者は、41年間教員を務め、その後は子どもたちの支援活動に力を入れている。本書は出会った人々の人生をていねいに聞き取り、まとめたものである。  話には聞いたことのある結婚や就職などでのさまざまな差別が、住民自らの語りによってより具体的に深刻さをもって伝わってくる。とりわけ貧しさゆえに親が借金を重ね、そのカタに取られて身売りさせられた女性たちの苦悩は筆舌に尽くしがたい。でも「心だけは売れへんかったで」という矜持や、あとに続く世代のために消したい過去を語り残そうとする強さと優しさ。本のタイトル『ごめん! 聞いてごめんな』に込められた意味にようやく気づいて、ああそうだったのかと。  朝鮮半島からみやらけにたどり着いた人たちのこと、地域に伝わる習慣や助け合ってきた生活、生き生きした文化など、差別をはねのけて生みだされた知っておきたい大切な歴史が本書に詰まっている。(室)

台湾女性文学の黎明 描かれる対象から語る主体へ 1945-1949

豊田周子 著

  • 台湾女性文学の黎明 描かれる対象から語る主体へ 1945-1949
  • 豊田周子 著
  • 関西学院大学出版会4800円
「台湾」「戦後」「女性」「文学」「主体性」をキーワードに、台湾の女性がいかに「自らを自覚的に語るようになっていった」のかを丁寧に検証した研究書である。  日本統治時代の文学や男性作家の作品も考察し、女性の表象の変遷にも触れている。日本による植民地支配や、戦後は国民党政府が政権を掌握し、台湾は政治も文化も複雑な歴史をもつ。植民地・戦後初期に女性作家が少ないという事実は、言語政策・教育や、植民地を通じての日本社会に息づく女性軽視の観念とが重層的に合わさり生じているということに心が痛む。しかし、戦後の女性解放活動家たちの、弱者への眼差し、女性問題を表現した詩の創作や、日本で育った陳蕙貞が13歳の時に書いた小説などに感動する。陳の『漂浪の小羊』には、民族・性差別を受けながら、自我覚醒していく少女が描かれているという。本書により、複雑で多様な視点をもつ台湾の女性たちの息遣いが伝わる文学に一層興味が湧いた。(ん)
【 新聞代 】(送料込み)
 1カ月800円、3カ月2400円
 6カ月4800円、1年9600円
【 振込先 】
 郵便振替:00180-6-196455
 加入者名:婦人民主クラブ
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