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ふぇみんの書評

なぜ私は凍りついたのか ポリヴェーガル理論で読み解く性暴力と癒し

花丘ちぐさ 編著 宮地尚子、S.W.ポージェスほか 著

    なぜ私は凍りついたのか ポリヴェーガル理論で読み解く性暴力と癒し
  • 花丘ちぐさ 編著 宮地尚子、S.W.ポージェスほか 著
  • 春秋社1900円
性犯罪規定に関する刑法改正の積み残し課題の一つが、「暴行脅迫要件」が残ったこと。「なぜ抵抗しなかったのか?」という問いに、被害者は答え、司法を説得しなければならない。この解決に「ポリヴェーガル理論」(1994年)をヒントにしたのが編著者だ。  生理学的に人の自律神経は、危機的状況に陥ると「凍りつき」を起こし生き延びようとする。そしてさらなる加害から逃れるために、相手に「迎合」してその場をやり過ごそうとする。この理論で多くの性犯罪被害者の行動が説明できる。  著者らは、自身の活動や理論とポリヴェーガル理論のつなげ方に期待し、さらなる展開を考察。検事の田中嘉寿子さんは、性犯罪被害者の聴取方法に役立ち、すでに取り入れている例もあると語る。  この理論を発表したポージェス博士によるトラウマや迎合の解説に、多くの疑問が解けた。法改正の後押しのために必須の書。(三)

中絶がわかる本 MY BODY MY CHOICE

ロビン・スティーブンソン 著 塚原久美 訳

  • 中絶がわかる本 MY BODY MY CHOICE
  • ロビン・スティーブンソン 著 塚原久美 訳
  • アジュマブックス2500円
本書には、中絶の歴史や、中絶の権利と安全な方法を求めて闘ってきた世界の運動が載っている。フェミニスト、活動家、医師たちの紹介ほか、多様な国の女性たちのデモの写真も載り、それぞれがしびれるほどカッコイイ。ブックデザインに興奮し、爽快感をもらいエンパワーメントされた。  中絶禁止は宗教的な背景というより、どの国でも産ませる・産ませないなど女の体を管理したがる男性的な論理や人口調節政策で、禁止し犯罪化させていることがよくわかる。中絶はスティグマまみれなので当事者も語ることが困難だ。だが、禁止で中絶が減るわけではなく、禁欲主義の性教育によ って10代の妊娠率が高くなるというデータがある。世界には非合法や安全でない中絶で命を落とす人が大勢いて、特に社会的弱者に負担を負わせる。堕胎罪があり、「掻爬法」が主流で、世界から遅れる日本もこのままでいいはずはない。中絶は人権の問題だと訴える本書はすべての人にお薦め。(よ)

RESPECT 男の子が知っておきたいセックスのすべて

インティ・シャベス・ペレス 著 みっつん 訳

  • RESPECT 男の子が知っておきたいセックスのすべて
  • インティ・シャベス・ペレス 著 みっつん 訳
  • 現代書館1800円s
スマホで手軽にエロ動画が見れる今、男の子向けの性教育本は難しい。“啓蒙本”だと読まれないし、性テクニックだけでは大事な知識が伝わらない。2010年にスウェーデンで刊行された性教育者による本書はその両方を網羅する上、先輩男性が経験を交えて気さくに語りかける文体。驚くのは包括する内容の広さと深さだ。  気持ちいいセックスの基本は「リスペクト」(尊重)。自分にも相手にも、だ。チンコの大きさや形、オナニーの悩みから性的志向や性自認、“ムラムラ”との向き合い方など、まずは自分を大事にし、その後2人でどう対等な関係を築き、どう平等にセックスを作り上げるのかの実践と方法を、異性愛・同性愛の場合で学ぶ。素晴らしいのは、ジェンダー不平等に気づかせ、男性の努力が必要なこと、男ジェンダーは愛を育む妨げになると明示し、同意なきセックスが罪になる同国にあって「性的同意」をとことん学べること。男の子がいる家や学校に必携の本!(戦)
【 新聞代 】(送料込み)
 1カ月800円、3カ月2400円
 6カ月4800円、1年9600円
【 振込先 】
 郵便振替:00180-6-196455
 加入者名:婦人民主クラブ
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