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ふぇみんの書評

こんど、いつ会える? 原発事故後の子どもたちと、関西の保養の10年

ほようかんさい(保養をすすめる関西ネットワーク) 編著

    こんど、いつ会える? 原発事故後の子どもたちと、関西の保養の10年
  • ほようかんさい(保養をすすめる関西ネットワーク) 編著
  • 石風社1600円
福島原発事故で被災し、心が潰されそうな不安の中で暮らす福島の子どもや大人のために、関西に住む自分に何ができるのか。そう考えたさまざまな立場の人々が、福島から離れた関西でこそできること、と始めたのが「保養」の受け入れだった。2011年夏から手探りで始め、秋には団体の交流会を行って「ほようかんさい」を発足。本書は23団体の、出会いと振り返りの記録だ。  障がいを持つ子どもを招いたり、検診を行う団体もある。イベント予定みっちりの団体もあれば、子どもたちと今日何する?と決める団体も。夜は大人同士が住まいを離れたからこそ話せる場にもなった。受け入れ側も原発事故を自分事と捉える機会に。豊かな自然環境など、団体の特色を活かした経験談も継続のヒントだ。  緊急避難的保養から、被災地の人々のその時々の困難により、ニーズも変化する。継続のためには民間の善意だけでなく、公的支援の必要性が切実だとわかる。(三)

渡辺てる子の放浪記 もう悔しくて悲しくて、怒ってんだ私は!

林克明 著

  • 渡辺てる子の放浪記 もう悔しくて悲しくて、怒ってんだ私は!
  • 林克明 著
  • 同時代社1000円
地を這って生き延びている人、てる子さん。そのエネルギーには本当に圧倒される。劇的な人生は「運命の出会い」から始まる。駆け落ち、放浪、ラブホテルでの出産、ホームレス状態での子育て、夫の失踪…。シングルマザーとして給食調理や保険外交などの職を経た後は、派遣社員として十数年契約更新を繰り返し働いてきた。  てる子さんは、いよいよ政治の世界へと進出する。タイトルどおりの悔しさ、悲しさ、そして社会への怒り、そして一番大変な思いをしている人への共感を持って。  彼女はマイクを握り街頭に立つ。2020年に渋谷区で殺害されたホームレス女性のこと、公共空間につくられる「排除アート」のおかしさ、有名人の差別発言と、それを称賛する一部の現象、テーマはさまざまだ。絞り出す肉声には、苦しい経験をしている人への思い、そして差別や弱者嫌悪を、自分自身を含め誰もが当事者であると呼びかける。てる子さんが政治家として歩む道、私たちもしっかり見届けよう。(梅)

賃金破壊 労働運動を「犯罪」にする国

竹信三恵子 著

  • 賃金破壊 労働運動を「犯罪」にする国
  • 竹信三恵子 著
  • 旬報社1500円
子どもが保育園に通園するので就労証明書を会社に要求したら「強要未遂」と刑事事件にされた。2018年、連帯ユニオン関西地区生コン支部(略称関生)のメンバー89人はこうして逮捕されていった。  「暴行」や「傷害」は1件もなく、団体交渉が「強要」、ストライキが「威力業務妨害」とされた。そもそも関生は、ゼネコンによる生コンのダンピングを防ぐため、中小の生コン会社を団結させ協会化、それを労働組合として下支えする運動を担った。生コンの積み下ろしは機械で行うためドライバーには女性も多い。だから、 有給の生理休暇、現場の女子トイレ設置も獲得目標とし、シングルマザーが自立できる労働環境を求めた。だが警察、検察、司法は一体となってひたすら逮捕と起訴を繰り返した。  憲法28条で労働者の「団結権」「団体交渉権」が保障されている。著者は関生事件を「憲法28条の解釈改憲」と警告。また、元朝日新聞記者として、「報じなかった」メディアの責任にも触れている。(公)
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