WOMEN'S DEMOCRATIC JOURNAL femin

  • HOME
  • ふぇみんの書評

ふぇみんの書評

恋する日本史

『日本歴史』編集委員会 編

    恋する日本史
  • 『日本歴史』編集委員会 編
  • 吉川弘文館2000円
本書は、日本史専門の学術雑誌『日本歴史』2020年1月号の特集に、新たに多くの研究者を加え、加筆・修正したもの。古代から近現代までの日本史を「恋愛」でまとめた特異な書籍だ。密通などの恋愛スキャンダル、異性間以外の恋愛など、庶民から皇室までさまざまな層の恋や当時の恋愛事情が分析されている。中世の、娘の密通を告発した母、各地の仏堂に残る「男色の風」を表す落書き、近現代の、慰問袋を通じた恋愛・結婚を伝える新聞報道、純潔教育など、とても興味深いエピソードと論考が多かった。  執筆者の一人(三上善孝)は、「古代史においてLGBTを語るということは、まず実証レベルで論じるというよりも、我々の思考の枠組みを問い直す試みでなくてはならない」「その当時のジェンダー規範や異性愛規範の解明がまずは前提になる」と書く。慎重さと柔軟性を念頭に置き、恋愛エピソードからジェンダー規範を推察する楽しさと意義を本書から知った。(ん)

挑発する少女小説

斎藤美奈子 著

  • 挑発する少女小説
  • 斎藤美奈子 著
  • 河出書房新社860円
鋭いフェミニスト視点を持つ文芸評論家の著者が、なぜ今「少女小説」を説くのか。10代の少女が主人公の「少女小説」は、いわゆる家庭小説・リアリズム小説の範疇にあり、おおむね「結婚」が最終的な落ち着き所だと言われるのだが…。  著者が取り上げるのは、言わずと知れた有名小説ばかり。『小公女』『若草物語』『ハイジ』『赤毛のアン』『あしながおじさん』『秘密の花園』『大草原の小さな家』『ふたりのロッテ』『長くつ下のピッピ』。かつての読者や、毛嫌いしていた皆さま、分別ついた大人になると、世代や時代を超えた、また深い読み方ができるのです。  鼻持ちならない少女が秘密の扉の鍵を見つけて…。突飛な行動の少女の闘いとは。親の離婚で離ればなれだった姉妹が入れ替わる冒険(私の好み)。そして、富豪との「結婚」は単純なシンデレラ物語ではないとか、両親の抑圧から逃れるための方策とか。それがいろいろな解釈ができて、著者が掘り下げると、ほんと興味深くなる。作品の(著者の?)挑発にのってみたくなった 。(五)

見えない妊娠クライシス 誰にも言えない妊娠に悩む女性を社会で支える

佐藤拓代 編著

  • 見えない妊娠クライシス 誰にも言えない妊娠に悩む女性を社会で支える
  • 佐藤拓代 編著
  • かもがわ出版1900円
誰にも言えない妊娠や予期しない妊娠(―妊娠クライシス)をしてしまい、一人ぼっちで悩んでいる女性に対して、あなた一人のせいじゃないよ、いっしょに考えるよ、と知恵と勇気を与えてくれる一冊。さまざまな相談窓口や緊急避妊薬のこと、中絶手術の内容、養子縁組のあり方など、あらゆる方向から解決の糸口を提示し、孤立しがちな女性たちに有効な情報を提供してくれる。  日本では、生後0日の死亡事例が非常に多いことが知られている。これは、妊娠が自己責任だとされ、妊娠の責任を女性一人に負わせてしまう、この社会の問題に違いない。誰にも相談できずに一人で妊娠の悩みをかかえ、たった一人で危険な出産を自宅でせざるを得なかったり、そのために赤ちゃんや妊婦自身が命の危険にさらされたり、そんな悲劇を生まないために、この本はきっと役に立つ。特に高校生など若い人に読んでほしい。(J)
【 新聞代 】(送料込み)
 1カ月800円、3カ月2400円
 6カ月4800円、1年9600円
【 振込先 】
 郵便振替:00180-6-196455
 加入者名:婦人民主クラブ
このページのTOPへ