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ふぇみんの書評

シモーヌ VOL.3

シモーヌ編集部 編

    シモーヌ VOL.3
  • シモーヌ編集部 編
  • 現代書館1300円
「雑誌感覚で読めるフェミニズム入門ブック」の今特集は、オランプ・ドゥ・グージュ(1748-93)。グージュと言えば、「フランス人権宣言」(89)が言う「人」には「女性」が排除されていると批判、「女性および女性市民の権利宣言」(91)を書き上げたが、王族の斬首刑に反対し斬首刑に。グージュの生き方や思想を詳らかにし、今日的意義を明らかにする本書で、グージュを?姉妹”と感じるはずだ。  グージュは夫を早くに亡くし、子を育てつつ、劇作家として数々の社会風刺作品を発表。黒人奴隷制を批判する作品もあり、劇作家としての矜持も見える。何より、人権宣言と比較されたグージュの宣言全訳を読んでほしい。男女平等のほか、契約に基づく婚姻、婚外子認知などいかに先進的思想だったか。グージュは現代と同様数々の誹謗中傷にさらされたが、近年仏で再評価の動きがあるという。  多種多様な連載も必読。ふぇみんのボーヴォワール単独インタビュー記事(1966年)も。(尚)

私とあなたのあいだ いま、この国で生きるということ

温又柔、木村友祐 著

  • 私とあなたのあいだ いま、この国で生きるということ
  • 温又柔、木村友祐 著
  • 明石書店1700円
「すばる文学賞」でデビューし、芥川賞候補にもなった2人。日本で暮らす台湾国籍者の温と、東北出身で小説に南部弁を取り込む木村。本書は「声と言葉」「動物とヒト」「国家と家族」など、対立する項目の「あいだ」をめぐって交わした2人の作家の往復書簡だ。  国や民族・女性への差別、持てる者と持たざる者に対し、2人は誠実に向き合い言葉にする。一人の人間が持つマジョリティーとマイノリティーの面を見つめ、少数者として、また他者の声を聴き発信する。抑圧された側が別の抑圧となる危うさも指摘。2人の真摯な言葉に心は内省へと導かれた。  東京五輪やコロナなどに言及し、政治の無策や日本社会の矛盾を綴る2人は、文学界をはみ出ても「まっとう」であろうとする。他者の痛みに鈍感で、女性・アジアへの差別むき出しの為政者がのさばる日本。「正気が保てない状況の中」で、「気が狂わないためにも書く」という2人が紡ぐ言葉の力に期待する。(ぱ)

日米安保と砂川判決の黒い霧 最高裁長官の情報漏洩を訴える国賠訴訟

吉田敏浩 著

  • 日米安保と砂川判決の黒い霧 最高裁長官の情報漏洩を訴える国賠訴訟
  • 吉田敏浩 著
  • 彩流社1500円
  1957年、東京の立川米軍基地拡張のための強制測量に抗議し、基地内に入った人々が逮捕・起訴された(砂川事件)。東京地裁は、「米軍の駐留は違憲」として全員無罪とした(伊達判決)。だが、最高裁では「駐留は違憲ではない」として、伊達判決は覆された。  伊達判決後に米政府は、日本政府に最高裁への跳躍上告を促し、当時の最高裁長官は裁判情報を駐日米国大使に漏洩していたなどの事実が近年明らかになり、「公正な裁判所の裁判を受ける権利を侵害された」として2019年に国賠訴訟が提訴されている。  著者はこうした砂川最高裁判決の背景を丁寧に追い、米軍の特権を維持する「安保法体系」の成立と、それが裁判所を制約する状況を伝える。 「安保法体制」のもとで、日本は米国の戦争に加担し、間接的な加害者となっている。砂川事件は過去のものではない。このままでいいのかと著者は問う。(き)
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