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ふぇみんの書評

99%のためのフェミニズム宣言

シンジア・アルッザほか 著 惠愛由 訳

    99%のためのフェミニズム宣言
  • シンジア・アルッザほか 著 惠愛由 訳
  • 人文書院2400円
99%のフェミニズムは、反資本主義を謳う不断のフェミニズムである(「あとがき」)。フェミニズムと資本主義の関係を明快に説明する、読んで力の湧く本だ。  2017年1月セレブを先頭に全米数百万の女性たちが「反トランプ」を掲げウィメンズマーチに参加。が、資本主義を補完するネオリベフェミニズムでは社会は変えられない。著者らは3月8日「国際女性デー」に反資本主義を明確にした世界中の女性たちのストライキ(「女性のいない日」)を呼びかけた。前年ポーランドでは中絶禁止を、アルゼンチン等南米ではフェミサイドに抗議し女性たちがストライキ。国際女性デーの起源は1908年移民女性を中心とした衣料品産業の女性労働者デモだ。  フェミニズムは社会的再生産と賃労働の二重の負担を負う彼女ら99%の女たちの側に立つ。人種や性、異性愛主義、階級の絡み合う差別や抑圧を乗り越え、自律的で開放的なフェミニズムを獲得するために、女たちよ闘おう。(の)

海をあげる

上間陽子 著

  • 海をあげる
  • 上間陽子 著
  • 筑摩書房1600円
沖縄・辺野古の海に埋立土砂が投入されてから2年余。著者は「まがまがしい権力に踏みにじられる」ようで言葉を紡げなくなったという。沖縄の若年出産や性風俗の少女たちの聞き取り調査をする社会学者の著者が、SNSのように日々のことを書いたエッセイ。  冒頭章は著者自らの喪失体験。だから少女らの痛みをすくい取れるのだ。生命をまっすぐに伸ばす娘との暮らし、祖母の死、命を支える日々のご飯…。家族内の暴力と矛盾と苦悩と世の無関心を一人で背負い、黙り込む少女らの「語らなさ」と「声の聞かれなさ」。それは基地の町の住民らと一緒だという。時に怒りに吐き気を覚えながら、それでも聞かなければならない声があると信じる著者。  土砂投入の日、娘は「魚は死む?」と聞いた。本当は真っ青な海を娘にあげたい。でも―。だから著者は読者に海をあげることにした。その真意が私たちの心に染みいる時、私たちは自分の場所でたたかうと約束するのだ。(登)

〈家父長制〉は無敵じゃない 日常からさぐるフェミニストの国際政治

シンシア・エンロー 著 佐藤文香 監訳

  • 〈家父長制〉は無敵じゃない 日常からさぐるフェミニストの国際政治
  • シンシア・エンロー 著 佐藤文香 監訳
  • 岩波書店2900円
 日本にも多くのファンをもつ国際政治学者による本書は、ある告白から始まる。「誰かが『家父長制』と口にするのを聞いたとき、その場から走って逃げたくなった」  わかるぅ~。古臭く硬直したイデオロギーのようなこの概念を使って、ニュアンスあるフェミニスト分析などできるのでしょうか。  もちろんできる、というのがエンローの答えだ。古臭いくせに最新鋭、多くの男性だけでなく女性たちにとっても家父長制が魅力的でありうるのはなぜなのか。本書は、ひるがえるスカートの裾、史跡観光地、国連本部で突き上げられる拳など、日常の中の無数の実践を通して、家父長制がいかに日々更新されるとともに挑戦を受け、揺るがされているのかを明らかにしていく。著者自身がアカデミズムの中でフェミニスト「的」抑圧を克服してきた経験は、多くの読者を励ましてくれるだろう。好奇心を研ぎ澄まし、新しい概念を作り出し、組織化しよう。反乱はすでにここで起きている。(も)
【 新聞代 】(送料込み)
 1カ月800円、3カ月2400円
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【 振込先 】
 郵便振替:00180-6-196455
 加入者名:婦人民主クラブ
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