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ふぇみんの書評

フェミニズムはみんなのもの 情熱の政治学

エトセトラブックス1800円

    フェミニズムはみんなのもの 情熱の政治学
  • ベル・フックス 著 堀田碧 訳
  • エトセトラブックス1800円
  米国で2000年に、日本で03年に出版された名著の復刊である。当時私も読み、フェミニズムの真髄や可能性を情熱と共に伝える内容に感銘を受けた。17年後。フェミニズム専門出版社よる復刊は、私にまた新たな気づきや発見、取り組むべき課題をくれた。  著者は若い世代に向けた入門書として書いた。黒人女性として1970年代からフェミニズムに携わった著者は、第2波フェミニズムが、白人至上主義・資本主義・エリート階級主義・異性愛主義・家父長制を解体する闘いをやめたと痛烈に批判。真のシスターフッドにはこれらへの闘いが欠かせず、フェミニズムは男性にも子どもにも解放の理論になると。内なる差別に気づくためのコンシャスネス・レイジングの重要性も強調する。  フェミニズム再びと言われる今、運動の中のパワハラ、女性の貧困、新たな育児・男性像・美の創出など、著者が示した課題の多くは未解決。でも進むのだ。ヴィジョンと情熱、愛をもって。(EN)

滞空女 屋根の上のモダンガール

パク・ソリョン 著 萩原恵美 訳

  • 滞空女 屋根の上のモダンガール
  • パク・ソリョン 著 萩原恵美 訳
  • 三一書房2000円
1931年、平壌の楼閣の屋根に命がけで登って女工たちの窮状を訴え、のちの労働運動にも影響を残した、姜周龍(カン・ジュリョン)を描いた小説。前半部では、熱愛する夫に従って入った「独立軍」で思いがけぬ「大活躍」をしながらも、因習と貧困に翻弄される姿が描かれる。後半部では、血縁を断ち一人の女工として過酷な労働をするなかで、仲間の女工や同業の工員の窮状へと視野を広げ、労働運動に目覚める。  解放運動や労働運動の中にもある女性蔑視・軽視に、時に軽妙に、時に正面から異を唱える姿は小気味いい。「インテリ」への引け目や反感も、おおらかに超越しているように見える。ただ、50人近い女工たちと共に「飢餓闘争」(ハンスト)を決意したのは、男性以上に虐げられている女性の、日々の怒りそのものだったのだろう。  100年前に朝鮮半島で闘った一人の女性が、現在の韓国に生きる女性の感覚を通して、鮮やかによみがえった。(葉)

平和学と歴史学 アナキズムの可能性

戸田三三冬 著 田中ひかる 解題

  • 平和学と歴史学 アナキズムの可能性
  • 戸田三三冬 著 田中ひかる 解題
  • 三元社6500円
 本書は2018年に急逝した女性アナキスト・戸田三三冬の遺稿集。  戸田の定義するアナーキーとは「人として生れたものが、持って生れた可能性を、その生きる環境ぐるみで十全に開花させようという根本的欲求に根ざす」。それ故アナキズムは「土の香り、潮のにおいのする、いきいきとした『自治』の実践の方法」という。  戸田は37歳の時、イタリアの有名アナキスト、マラテスタのパンフレット「農民の中へ」を偶然読み、彼の自由な精神に衝撃を受けアナキズムに魅せられた。医学生だった彼は革命に参加し、投獄や亡命生活を強いられ、ファシズム政権下の1932年、軟禁状態で死去した。  彼女は世界を股にかけ足跡を追い、彼の故郷、ナポリの国立文書館で警察文書を精読した。捜査で押収された書類が貴重な資料となった。  本書には彼女の現役アナキストとの熱き交流の様子も綴られている。アナキズムを礎とした平和学やフェミニズムが、今を生きる上での手がかりになりそうだ。(慶)
【 新聞代 】(送料込み)
 1カ月800円、3カ月2400円
 6カ月4800円、1年9600円
【 振込先 】
 郵便振替:00180-6-196455
 加入者名:婦人民主クラブ
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