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ふぇみんの書評

読書する女たち フェミニズムの名著は私の人生をどう変えたか

ステファニー・スタール 著 伊達尚美 訳

    読書する女たち フェミニズムの名著は私の人生をどう変えたか
  • ステファニー・スタール 著 伊達尚美 訳
  • イースト・プレス1700円
 科学者の母、子育てする父の間に1970年代に生まれ、90年代に大学を卒業した著者。フェミニズムを所与とし、新聞記者として未来は開けている―はずだった。家事育児に協力的な夫と結婚するも、出産・子育てを機にフリーに転向、家事雑事に追われるうち、夫婦仲は悪化し、自己を喪失。本屋で手にしたB・フリーダン著『新しい女性の創造』(63年)に衝撃を受けた著者は、ほぼ20年ぶりに大学に戻り「フェミニストのテキスト講座」受講を決意。著者は名著再読を通して、人生を見つめ、発見し生き直す。  名著を読んでいなくても大丈夫。13冊を著者と読み、リアルに考える。かつての女性と何が違い、何が同じか。発見あり、反発あり。年下の学生との議論も面白い。SNSで自身の対象化に慣れている彼女らは、マッキノンの言う、ポルノでの「女の対象化」がピンとこない…。 悩み苦しみ惑ったときは、フェミニズムの本がある。至高の読書体験が一緒にできた。(ド)

メイドの手帖 最低賃金でトイレを掃除し「書くこと」で自らを救ったシングルマザーの物語

ステファニー・ランド 著 村井理子 訳

  • メイドの手帖 最低賃金でトイレを掃除し「書くこと」で自らを救ったシングルマザーの物語
  • ステファニー・ランド 著 村井理子 訳
  • 双葉社1800円
読みながら息苦しさ、衝撃、やるせなさを感じた。それは主人公の置かれた救い難い状況に対してだけでなく、読者である私の中に潜む「驕り」と向き合わざるを得なかったからかもしれない。  本書の主人公にして著者のステファニー・ランドは幼い娘を抱えるシングルマザー。「メイド」として最低賃金で働き、当然の権利である福祉制度を受けることで差別的な視線を浴び、他人の家の汚れたトイレと格闘しつつこう吐露する。「この仕事に依存しているのと同じくらい、仕事が大嫌いだった。そんな仕事を必要としていることが嫌だった。それに感謝しなければならないのが大嫌いだった」  しかし彼女は一人娘の存在と、通信教育、そして自らの体験の執筆を糧に希望をつかみ取った。  困難を抱える人々が皆、彼女同様たくましいとは限らない。だが彼女の行動は「明けない夜はない」という言葉そのものだ。(タ)

罪を犯した女たち

藤野京子 著

  • 罪を犯した女たち
  • 藤野京子 著
  • 金剛出版2800円
本書は犯罪に走ってしまった女性13人のライフストーリー。犯罪経験者のアセスメントやカウンセリングに長年携わってきた著者がインタビューし、当事者が自身の人生を語っている。  非行・犯罪の背景には、貧困や虐待・暴力の存在、薬物依存症や精神疾患を抱えている場合が少なくない。登場する女性たちも同様だ。それに加え、女性ならではの生きづらさもみえる。出産や子育て、家族の世話への責任、女性に対する過度な規範など、社会の厳しい目や期待の重圧から犯罪に走ったり、更生を難しくさせる面があると感じた。あまり知られていない犯罪女性の人生や語りの本 は稀有で貴重だ。  社会も変えるべきとしながらも著者は個々への支援や心理的働きかけの必要性を訴える。自身の人生を見つめることで課題が見え、立ち上がろうと意欲が出るのだろう。負の経験を強さに変えたサバイバーもいる。社会で生き直すために何が必要か。多くの気づきをもらった。(く)
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