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ふぇみんの書評

その名を暴け #MeTooに火をつけたジャーナリストたちの闘い

ジョディ・カンター、ミーガン・トゥーイー 著 古屋美登里 訳

    その名を暴け #MeTooに火をつけたジャーナリストたちの闘い
  • ジョディ・カンター、ミーガン・トゥーイー 著 古屋美登里 訳
  • 新潮社2150円
 本書はNYタイムズ紙の調査報道記者である2人の著者が、2017年に発表したハーヴェイ・ワインスタイン(映画プロデューサー)による性暴力告発報道までの道程と、#MeToo運動にまで発展したその後の動向を綴った迫真のドキュメント。  ハリウッドのある女優より、ワインスタインから受けた性的暴力の話を聞いた著者らは、他にも被害者がいるのではないかと疑問を抱く。これ以上被害者を増やしてはいけないという使命に突き動かされた著者らは、細密な調査と取材を重ね、固く口を閉ざしてきた多くの女性たちの声を掬い、被害者を拘束する示談の全容を掴む。権力者による性的虐待の真実を暴くこの膨大な記録は、なぜ被害者が沈黙を強いられ、性的暴力が隠蔽され続けるのかを露わにする。  原題は?SHE SAID”。アシュレイ・ジャッド、グウィネス・パルトローをはじめ、声を上げた女性たちが集い、新たなナラティヴを語る終章は胸を打つ。(え)

ワイルドサイドをほっつき歩け ハマータウンのおっさんたち

ブレイディみかこ 著

  • ワイルドサイドをほっつき歩け ハマータウンのおっさんたち
  • ブレイディみかこ 著
  • 筑摩書房1350円
英国のEU離脱が決まって以来、離脱に票を投じた英国労働者階級の白人おっさんたち(ベビーブーマー世代)は、英国の若者や世界中から「排外主義」「右翼的愛国者」と悪者扱いされている。英国の?地べた”で働き生きて24年の著者が、自分の周辺に生息するおっさんたちのリアルを描く。  失業、病気、離婚、孤独、恋…。おっさんたちをめぐる状況は一筋縄ではいかないが、中国人移民へのヘイトに対して自警団を結成したり、若いアジア人妻の連れ子の面倒をみたり、潰されかけている図書館で慕われるなど、おっさんたちの抵抗や悲喜こもごもを読むと、偏見が解けていく。飲酒量が多いのもリッチな中高年層だとか。      おっさんが投じたEU離脱票も?おっさん差別”も、原因は緊縮財政にあると著者。そして労働者階級こそ、あらゆる多様性を包摂し、「カネと雇用」1点で連帯できると。おっさんへのパンクな賛歌であり、未来を叫ぶロックな本でもある。(椿)

政治部不信 権力とメディアの関係を問い直す

南彰 著

  • 政治部不信 権力とメディアの関係を問い直す
  • 南彰 著
  • 朝日新聞出版790円
著者は政治部に10年間在籍、今年9月まで新聞労連委員長を務めた。安倍政権で官邸一極集中の政治が完成、市民の「メディア不信」を追い風に、為政者はSNSも駆使しながら、メディアへの介入を強めていると著者は書く。  台本を読むだけの首相、フリーランスを排除し、質問も制限する官邸記者会見。一方、権力との関係性を重視し、「事なかれ主義」「忖度が日常」の報道機関。「マスゴミ」と切り捨てるのは簡単だが、それでいいのか。  「日本マスコミ文化情報労組会議」と「国会パブリックビューイング」は、連名で「オープンな記者会見を求める」署名に取り組む。官邸記者会見での「答えない」?菅話法”が地方の役人や政治家にも広がりつつあるからだ。ちゃんとした報道ができるよう市民がメディアを支えることが重要という。  男性優位で意思決定されるメディアの問題についても1章を当てる。市民がメディアとどう共闘できるのか、今必読の一冊。(き)
【 新聞代 】(送料込み)
 1カ月800円、3カ月2400円
 6カ月4800円、1年9600円
【 振込先 】
 郵便振替:00180-6-196455
 加入者名:婦人民主クラブ
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