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ふぇみんの書評

アメリカ白人が少数派になる日 「2045年問題」と新たな人種戦争

矢部武 著

    アメリカ白人が少数派になる日 「2045年問題」と新たな人種戦争
  • 矢部武 著
  • かもがわ出版1800円
アメリカには「白人特権」があるという。有色人種は、人種を理由に警官に呼び止められたり、公共施設の宿泊を拒否されることが今もあるが、白人はそんなことを気にせずに済むという「特権」だ。  アメリカ建国以来250年、人口の大多数を白人が占めてきたが、一昨年、米国勢調査局は2045年に白人が人口で少数派となると発表、白人たちは大きなショックを受けた。そんな不安を巧みに政治利用したのがトランプ大統領である。民主党・共和党問わず、白人至上主義者を擁護した史上初めての大統領だ。白人警官の暴行で黒人男性があいついで殺され、ブラック・ライブズ・マター運動が全米から世界に広がっている。大統領選を控えたいま、多人種・多民族の平等な共存の実現をめざしたはずのアメリカが、白人支配を維持するのか、多文化社会へと向かうのかを読み解く手がかりに本書はなるはずだ。(公)

去られるためにそこにいる 子育てに悩む親との心理臨床

田中茂樹 著

  • 去られるためにそこにいる 子育てに悩む親との心理臨床
  • 田中茂樹 著
  • 日本評論社 1700円
医師・臨床心理士であり、共稼ぎで4人の子どもを育てる著者は、子育ての悩みに20年近く寄り添い続けてきた。本書は数々の実例を通して、親のあり方、子どもへの接し方を説いたものだ。  暴言、不登校、言うことを聞かない、困ったクセ、引きこもり…親が悩む子ども(成人含む)の「問題」には「大切な意味がある」と著者。そして親が子どもへの「指示」をやめ、感情を受け止め、関心を持って見守るようにすれば、子どもは自分の力でしっかり歩み出すことが症例で明らかに。「見守る力」は、親が自らの生い立ちや偏見を乗り越え、自分を受け入れ愛することにもつながると。  最終的には子どもの自立のために、安定して「去られるためにそこにいる」ことが親の理想の姿。それらは、認知症や妄想癖のある高齢者にもいい影響があるらしい。  「私の子育て指示ばかり」と嘆くことなかれ!著者も失敗ばかり、「大丈夫、何度でも立て直せばいい」と励ましてくれる。(HB)

ハポンを取り戻す フィリピン残留日本人の戦争と国籍回復

河合弘之 猪俣典弘 著

  • ハポンを取り戻す フィリピン残留日本人の戦争と国籍回復
  • 河合弘之 猪俣典弘 著
  • ころから1600円
「ハポン」とは、フィリピンで「日本人」をさす。  太平洋戦争前には3万人を超えたフィリピンの日本人社会は、戦争により一転、父は現地徴集などにより戦死あるいは生き別れ、多くの2世たちは残留。反日感情とゲリラによる攻撃の激化の中、蔑みや怒りにさらされ、彼らは日本人であることを隠して生きてこざるをえなかった。  本書では、フィリピン残留日本人2世の日本国籍の回復に取り組んできた著者らが、残留日本人問題を知るためのQ&A、当事者への聞き取り、そして問題を深く知るための戦前戦後史、解決に向けての参考事例を提示する。  今、残留2世たちが日本政府に求めているのは「自分の存在証明として、日本国籍を回復すること」だ。彼らの平均年齢は80歳を超え、「解決の前に、問題が消滅してしまう」状況だ。問題の理解と世論の喚起のためにも、本書と、映画『日本人の忘れもの』(本紙20年7月25日号)を活かす時だ。(ね)
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