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ふぇみんの書評

仕事本 私たちの緊急事態日記

左右社編集部 編/

    仕事本 私たちの緊急事態日記
  • 左右社編集部 編/
  • 左右社2000円
緊急事態宣言が出された4月、どう暮らし、働き、生きたのか。本書は、エッセンシャルワーカーのほか、葬儀社スタッフ、アーティスト、作家など、年齢も職業も多種多様な77人の日記だ。  フリーランスのピアノ講師は、完全休業となり貯金を切り崩す。その仕事は「不要不急」か。だが、「(生徒に)音楽を支えにする方法を教えるのも、私の仕事」と記す。  家族に感染させないよう最大限の努力をする内科医が勤務する透析クリニックでは、マスクも防護衣も不十分だ。歯科医には医療用マスクが配布されず、「医療関係者が『ばい菌』と呼ばれ差別を受ける島国日本は狭量で情けない」と薬剤師は書く。  「絶望が答えではない」と書く人がいる。そして占星術家はいう。「(僕が恵まれているのは)星は『めぐる』ということを知っていることだ」と。  明るい兆しを見出す「いい」話ばかりではないが、書くこと、読むことで、考えの深まりと広がりを感じる。(ね)

30分で読む! アフターコロナ世代の子育て

山田真、石川憲彦 著

  • 30分で読む! アフターコロナ世代の子育て
  • 山田真、石川憲彦 著
  • ジャパンマシニスト社1000円
学校の一斉休校に外出自粛、夏休みも帰省すらできずに引きこもる?!―コロナ禍で大きな影響を受けている子どもと親。親子が密室で真向かう時間が増える中、子どもの成長は大丈夫なのか、退屈すぎないか、ゲーム漬けにならないかなどの心配は尽きない。本書出版社発行の子どもの育ちに寄り添う雑誌「ち・お」などでもおなじみの小児科医(山田氏)と児童精神科医(石川氏)が、柔らかく平易な語り口でそれらを解きほぐす。  2人ともコロナ禍の今こそ、いのちの原点に戻る時と。山田は、ウイルスや細菌を徹底的に排除するこれまでの主流医学ではなく、症状を治癒の過程と捉え、ウイルスや細菌との共生をと。石川は、親の干渉を排し、子どもがゼロから自分で遊びを発見する能力を磨くチャンスと。むしろ心配なのは適応力の低い親の方と(!)。  さらっと読めて、気持ちが楽に。真に考えるべき事(福島原発事故との相似、コロナ以前の医療崩壊)も指し示してくれる。(智)

コロナ後の世界を生きる 私たちの提言

村上陽一郎 編

  • コロナ後の世界を生きる 私たちの提言
  • 村上陽一郎 編
  • 岩波書店900円
 コロナの災厄は世界をどう変えるのだろうか。コロナ後の世界を見据え、さまざまな分野の専門家、24人の提言を集めた本書。8月初旬の現在、日本ではコロナ感染が再び激増しているが、国は無策なままだ。執筆者は第1波がやや収まった頃に書いたと思われるが、その時点でのそれぞれの視点がおもしろく、読み応えがある。  安倍首相をはじめ日本の政治家たちの無能ぶりや、品位や責任のなさと比較するように、ドイツのメルケル首相の対応を評価する執筆者が何人もいた。作家の多和田葉子さんは、メルケル首相は「人間が大切、弱者が大切、芸術が大切」と示し、最初に理想を打ち出し、そこから現実に適応していく過程をすべて見せているという。ドイツは他国の重症患者も受け入れた。自国中心主義でない「国家」のあり方を考えさせられた。  内橋克人さんの「生産条件」優位型社会から、循環する「自給圏」の形成、「生存条件」優位型社会への提言などに興味がわいた。(ぱ)
【 新聞代 】(送料込み)
 1カ月800円、3カ月2400円
 6カ月4800円、1年9600円
【 振込先 】
 郵便振替:00180-6-196455
 加入者名:婦人民主クラブ
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