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ふぇみんの書評

それはあなたが望んだことですか フェミニストカウンセリングの贈りもの

河野貴代美 編著

    それはあなたが望んだことですか フェミニストカウンセリングの贈りもの
  • 河野貴代美 編著
  • 三一書房1700円
昔、まだフェミニストカウンセリングのなかった時代、私たちは心に問題を抱えたとき、それはお前の心がけが良くないからだ、考え方が間違っているからだ、と思わせられてきた。フェミニストカウンセリングと出合って、この生きづらさは社会のあり方がおかしいせいだと教えてもらった。そのことに、私たち女性はどんなに救われ、勇気づけられたことだろう。  フェミニストカウンセラーの先駆者によるこの本の中にいるのは、私であり、あなた。事例の中の彼女たちは、きっとどこかで出会った姉妹たち。同じ時代を生き、同じ問題に心を痛めている。性暴力にセクハラ、DV、離婚や子育て、そして抗えない高齢化、そのときどきにどんな選択をしたのか、その選択にフェミニストカウンセリングがどう寄り添ったのかを、ひとつひとつひも解いてくれる。  「そのままのあなたでいい」と呼びかけるエコでスロー、非競争的な「やわらかいフェミニズム」を、私も共に。(順)

ジソウのお仕事 50の物語で考える子ども虐待と児童相談所

青山さくら、川松亮 著

  • ジソウのお仕事 50の物語で考える子ども虐待と児童相談所
  • 青山さくら、川松亮 著
  • フェミックス1800円
子どもが虐待で死亡する痛ましい事件が起こる度に、児童相談所(ジソウ)の無策を断罪する世論がいっとき過熱する。でもジソウに関心を持ち続ける人はいるだろうか。本書はジソウの児童福祉司の青山が、2009年から19年までの経験を50の物語として紡ぎ、川松が解説を加え、子どもと家族を取り巻く問題やジソウの現実や課題を静かにあぶり出す。   漫画のように格好良く虐待介入するヒロインは登場しない。子どもに寄り添いたいが、「家族を壊した」と保護児に責められたり、本当の解決は何かと始終戸惑う多忙で過酷な日々。貧困や親の生育歴など家族の困難と孤立が虐待を招き、見えづらい性虐待や教育虐待も。  この間ジソウの拡充が言われながら、状況があまり変わらないことにも驚く。川松による制度変革の提言は明快的確。多様な家族を前提に、地域で丸ごと支援する「おせっかい」を作り出すとの方向性は、大人も子どもも生きやすい社会なのだろう。(P)

女たちのシベリア抑留

小柳ちひろ 著

  • 女たちのシベリア抑留
  • 小柳ちひろ 著
  • 文藝春秋1700円
旧満州から、戦後シベリアに抑留された多数の女性がいた。この知られざる事実を2014年、「女たちのシベリア抑留」(NHK)という番組が紹介。証言は大きな反響を呼んだ。番組のディレクターだった著者が、描き残した証言や取材の紆余曲折を綴る。  シベリアに抑留されていた日本人男性の「(女性を)見た」という言葉から、人を辿り話を聞き出し、ロシアやシベリアにも赴き、公文書を紐解き膨大な資料から事実を掘り起こしていく。女性たちの多くは日赤の看護婦で、敗戦時に軍に同行したためシベリアに送られたのだ。ほかにも民間人や受刑者もいた。 数年後に帰国できた女性たちから、収容所での日々、強制労働、仲間の死など生々しい証言を聞く。一度も抑留の話を聞いたことがない、という遺族の言葉も重い。政治犯だった女性の戦中・戦後の数奇な人生には息を飲む。  過酷な抑留生活と戦後の生から、戦争は誰が責任を取るべきなのかを考えた。(三)
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