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ふぇみんの書評

最小の結婚 結婚をめぐる法と道徳

E・ブレイク 著 久保田裕之 監訳

    最小の結婚 結婚をめぐる法と道徳
  • E・ブレイク 著 久保田裕之 監訳
  • 発行 白澤社 発売 現代書館4200円
結婚があたえる手厚い法的・経済的保護と社会的承認への平等なアクセスを主張する同性婚の要求は、世界中で高まりつつある。しかし結婚制度は同性愛者を排除してきただけでなく、女性や結婚を選ばない人々への抑圧ももたらしてきた。一対の生涯にわたる排他的な性的パートナーシップという型に多様な人々を押し込めることには、根本的な問題があるのだ。  本書は、結婚を正義にかかわる政治哲学の問題として正面からとりあげ、著者が「最小の結婚」と呼ぶラディカルな改革を提案する。すなわち、結婚から道徳や性愛規範をそぎおとし、子の養育に関する枠組みを切り離して、成人間の自由な選択にもとづく多様なケアのネットワークを支援する制度として再構築するというものだ。興味深い議論であると同時に多くの疑問もわいてくるが、ケアと保護をすべての人々に公正に保障する制度とは、という観点から、結婚を根本的に議論するための重要な基盤を提供してくれる。(も)

韓国が嫌いで

チャン・ガンミョン 著 吉良佳奈江 訳

  • 韓国が嫌いで
  • チャン・ガンミョン 著 吉良佳奈江 訳
  • ころから1800円
主人公のケナは、自国(韓国)に嫌気がさし、恋人とも別れ、オーストラリアで永住権・市民権を取るために留学する…。  タイトルは『韓国が嫌いで』だけど、ヘイト本でない。男が書いてるけど、フェミニズム小説じゃないといえない。元新聞記者の著者が、女性主人公に語らせる形で、韓国社会に生きる若者や女性の生きづらさを描いた小説だ。満員電車やセクハラ上司、非正規雇用、競争・格差、女性への差別、アジアにおける自国優位と他国への蔑視感、男女の考え方の違い…あるある…と頷くことばかり。恋人は兵役につかないなど、小さな違いはあるけど日本と似てる。きっと“日本が嫌い”と思う人もいるはず。  ケナは移民して、差別も受け失敗もするが、さまざまな人との付き合いの中で、自国他国の社会や、家族・恋人・友人関係を見つめ直していく。海外に出る人が日本より多い韓国。隣国人のたくましさを見習いながら、幸せになってやる、って思える本!(り)

「小児性愛」という病 それは、愛ではない

斉藤章佳 著

  • 「小児性愛」という病 それは、愛ではない
  • 斉藤章佳 著
  • ブックマン社1700円
「小児性愛」は愛ではなく、深刻な性暴力。しかも子どもへの「飼育欲」を膨らませ、加害を「純愛だった」とまで認知が歪む精神疾患―と指摘する著者は「痴漢は依存症」とする著書で知られ、東京都の依存症クリニックのソーシャルワーカー。性加害者の治療プログラムでは「小児性愛」者が馴染めないことに気づき、2018年から「小児性愛」者に特化した日本初のプログラムを実施。本書は「小児性愛」者の実態、治療内容、再犯防止策などを明らかにする。全てはこれ以上被害者を出さないため。再犯率が高く、衝動性と反復性が高い依存症だからだ。  「被害者がいない」として規制が甘いCGやアニメの児童ポルノが加害の引き金になる、女性を蔑視し未熟をよしとする日本社会が加害を学習させる、出所した加害者を隔離し孤立化させるのは再犯に近づける、との指摘は新鮮。女性差別をなくし「加害者と自分は地続き」と認識を転換することが犯罪抑止になるとの提言は貴重だ。(登)
【 新聞代 】(送料込み)
 1カ月800円、3カ月2400円
 6カ月4800円、1年9600円
【 振込先 】
 郵便振替:00180-6-196455
 加入者名:婦人民主クラブ
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