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ふぇみんの書評

禁断の果実 女性の身体と性のタブー

L・ストロームクヴィスト 著 相川千尋 訳

    禁断の果実 女性の身体と性のタブー
  • L・ストロームクヴィスト 著 相川千尋 訳
  • 発行 花伝社 発売 共栄書房1800円
 女性器、女性のオーガズム、生理…のタブーに切り込む、スウェーデン発のフェミニズム・ギャグコミック。キュートなイラストと手作りzineのようなレイアウトで、学術研究も引用し女のカラダと欲望の支配の歴史を問い直す。  古代・中世は、女性器の外陰部や生理も畏敬の対象で、女の性欲もオーガズムも、クリトリスがオーガズムの中心とも発見・肯定されていたのに、19世紀から家父長制・性別二元論・異性愛主義により、女性器は男性器に対する単なる「穴」、性欲もオーガズムも否定。怖いのはその名残が現代に残っていること!女の意識にも。女は自分の性器から快楽から生理からも意図的に遠ざけられてきた―。  男たちによる支配のばかばかしさ(根拠のなさ)をギャグにして笑い、女にふわりと翼と力を与える。「やってらんない!」とばかり、生理の血にお構いなく踊る女の子の絵が最高。本書を手に語り合いたいし、日本や各国事情版も読みたい。(登)

くわしすぎる教育勅語

高橋陽一 著

  • くわしすぎる教育勅語
  • 高橋陽一 著
  • 太郎次郎社エディタス 2000円
カバーイラストは、教育勅語を聞く子どもがかつて強いられた最敬礼のポーズ。2017年、森友学園の幼稚園で教育勅語を暗誦する園児たちが報道された。まもなく政府は「教育勅語を教材に使うことは否定されない」と閣議決定した。著者の高橋陽一氏はその報道を聞いて本書の執筆を決めたという。  第1部では、教育勅語300字余りを一字一句読み解く。文言の語義、言葉の由来が精緻に紐解かれると、天皇中心の国家観に基づく教育勅語の本質が浮かび上がる。著者は主張を抑えた筆致で書いているが、にも関わらず教育勅語に「使える」ところなど一行もないことが明確に理解できる。「親孝行などは普遍的な徳目」などと言う政治家もいるが、教育勅語の中でそれらは独立した道徳観ではなく、「ひとたび事あれば国家につくし皇室を翼賛する」という結語にすべて収斂しているからだ。否定されたはずの教育勅語があちこちで頭をもたげているいま、まず本質を知っておくための好著。(公)

青年はなぜ死んだのか カルテから読み解く精神病院患者暴行死事件の真実

嶋田和子 著

  • 青年はなぜ死んだのか カルテから読み解く精神病院患者暴行死事件の真実
  • 嶋田和子 著
  • 萬書房2000円
2012年、男性が閉鎖病棟で身体拘束の後、暴行され、亡くなった。この事件の背景から、薬剤使用と精神医療を問い直す書。  恐ろしいのはこの暴行が、そうと自覚されず仕事熱心な医療従事者による「看護」として行われていたことだ。3カ月にも及ぶ身体拘束が、日本の精神医療の平均期間というのも信じ難かった。  男性は学生時代、ちょっとした心身の不調で精神科を初めて受診。最初に処方された薬の副作用でジストニア(不随意運動疾患)を発症、その改善のために転院し、さらに症状を悪化させる。家族は次々と処方される薬剤について不審に思うが、出ている症状は全て「精神症状」とされ薬剤の影響は疑われることがなかった。  薬剤の多剤大量処方を根本的に問い直すことのできない医療現場の体制や、精神医療のなかでの人権侵害について、私たち全員の問題として考えたいと思う。(梅)
【 新聞代 】(送料込み)
 1カ月750円、3カ月2,250円
 6カ月4,500円、1年9,000円
【 振込先 】
 郵便振替:00180-6-196455
 加入者名:婦人民主クラブ
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